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2022年7月8日金曜日

柴宮幸『呪い子の召使い』第1~6巻あらすじ&ネタバレ感想

作品名 : 呪い子の召使い
漫画家 : 柴宮幸
出版  : 既刊6巻
白泉社(2020/8~2022/4)
ジャンル: ファンタジー 王国
トーン : ほのぼの シリアス
試し読み: 呪い子の召使い

[あらすじ]
不死の呪いを持つ少女・レネは、気味悪がられ仕事をクビになり求職中。 ある日王子様の召使いにスカウトされるが、彼は触れる者皆死ぬ「毒の呪い」のために幽閉されていて…!? 相反する呪いを持つ孤独な二人が出会う、運命の王道主従ファンタジー!

[感想]
ファンタジー要素が入った中世ヨーロッパ風の王国を舞台にした主従・身分差恋。人の呪いや願いがもとで特異な力を持つようになった呪い子と呼ばれる人達が存在する世界のお話で、触れたものを殺す毒の呪いのために2年前から塔に幽閉されている不遇の王子と、王子の召使に抜擢された不死の呪いを持つ平民出身の底抜けに明るいヒロインが運命的な出会いを果たし、様々な試練を強い絆で乗り越えていくドラマチックな形勢逆転劇。

魅力的なキャラ・高い画力・構成力の三拍子揃った作品で違和感なく物語に入っていけました。呪い子というユニークな設定ながら、多くの点で魔女と似ている存在(人ならざる能力ゆえに人々から恐れられて迫害されている等)ので取っつきにくさを感じさせません。

1巻では呪い子歴5年のアルベール王子が、呪い子として先輩であり、医師に育てられたことで知識が豊富なレネのアドバイスで呪いをある程度コントロールできるようになり、幽閉を解かれるエピソード(主従愛+成長物語)が描かれるとともに権力闘争渦巻く王宮内の人物相関図も明らかになっていきます。

・近衛騎士団長のギョーム
レギュラーの脇役で飄々とした兄貴肌の好人物。国王の信頼が厚く、アルベール王子が幽閉されている塔の番人を国王から仰せつかる。

・王弟
アルベールの叔父。呪いにより心を毒された呪い子。数年前に第一王子を葬り去り、アルベール王子も消そうとしたが、1巻で悪事が暴かれ退場。


2巻では若き宰相ヒューゴがアルベール王子とレネの前に立ちはだかるものの、ヒューゴもまた領主だった亡き母が呪い子だったという複雑な事情が明らかになっていきます。


・宰相ヒューゴ
領主の息子。母は氷雪の呪い子。異常気象の大雪で家族と領民を失い、視察中の国王に保護される。呪いの連鎖を断ち切ろうとして、召使のロザリーをアルベールのもとに送り込み、レネと引き離そうとするが、アルベールとレネの絆の強さを目の当たりにしたロザリーは二人の味方に。

アルベールとレネの活躍で王宮の地下に眠っていた氷漬けの妹・ジゼルが生き返ったことに深く感謝したヒューゴは、アルベールに忠誠を誓う。

・ロザリー
没落貴族の娘でヒューゴの妹・ジゼルに仕えるお転婆少女。ジゼルを溺愛。最初はアルベールを幽閉しようとするヒューゴの指示通りに動いていたが、アルベールとレネの主従愛に心動かされ、二人の良き理解者に。ジゼル以外にはツンデレ。


2巻後半~3巻は宰相ヒューゴからの依頼を受けたアルベールとレネが、呪い子が領地を焼き尽くしているとのきな臭い噂が立っている西の外れにあるヴェストムルデに向かうお話。その領地はレネの故郷で養父のカガリ先生が住んでいる場所。

二人が真相究明に乗り出したところ、領民を苦しめていたのは呪い子ではなく、悪徳領主だったことが判明。


・カガリ先生
孤児になったレネを引き取り、可愛がってくれた優しい養父。メガネをかけたお茶目な医者で恵まれない子を保護している。

・フー
カガリ先生が保護した炎の呪い子。粗野で口が悪い少年。生い立ちのせいで苦悩するが、アルベールとレネと出会ったことで変わっていく。


3巻・4巻はアルベールの元婚約者・マチルダ王女と王女を一途に想う従僕・ラウルのお話がメイン。

5巻・6巻は呪いを抑える鉱石を求めてアルベールたちが炎の呪い子のフーとともに国外のガラ国を視察する中での出来事と、赤ちゃんの呪い子・クレールをアルベールとレネが預かるエピソード=プチ子育て編。

想像していたよりも呪い子がたくさん存在する世界のお話で意表を突かれました。次から次に登場する呪い子たちのそれぞれの苦悩とそこからの解放/再出発がアルベールとレネとの関わりの中でじっくり描かれています。少女向けレーベルだけど、世界観に深みがあるので大人が読んでも面白い作品。

アルベール王子がまだ子供なので恋愛要素はほんのり程度でまだ本格化していませんが、ツンデレ美少年のアルベールが、朗らかで慈愛に満ちた召使のレネに心を開いていくところも、好意が次第に恋心に変っていき、レネの言動に一喜一憂するところも可愛くて癒し効果が絶大。レネの鈍感さも憎めなくて微笑ましい構図。6巻でようやく両想いに。

呪い子の召使い 2