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2022年1月10日月曜日

山田貴敏『Dr.コトー診療所』第3・4巻ネタバレ感想


Dr.コトー診療所 4

3巻は22~33話収録。今回は島で凶悪犯罪が発生し、人質になったコトー先生と看護師の星野さんが絶体絶命のピンチに陥る事件簿と、島になかなか馴染めない都会から来た小学校教諭のお話と、漁労長シゲさんの息子のお話。

芦田代議士が2憶もするESWL(結石患者のための医療機器)を診療所に送ってくれてコトー先生が浮かれていた頃、島の岬で難破船が発見され、駐在が島民に怪しい人物を見かけたら呼びかけるように声をかけてまわっていて・・・。

・9番目の手術:密入国者

その夜、診療所に3人の男が現れ、その中の1人は大ケガを負っていたのでコトー先生が応急手当をして本土へ移送しようとしたところ、付き添いの男たちが銃を取り出し、コトー先生と星野さんを人質にとって診療所に立てこもる凶悪事件が発生。

異変をなんとか島人に知らせようとする二人と、それを阻止しようとする男たちのスリリングな攻防戦。コトー先生は漁に出ている原にこっそり信号を送ったり、ESWLを爆発させて異変を周囲に知らせようとして・・・。

男たちは密入国の手引きをする組織から金を奪って逃げてきた中国人たちと判明。付き添いの二人は怪我を負った男をめぐって仲たがい。

最後は星野さんを逃がすためにすすんで人質になったコトー先生が、男たちによって拘束され、盗んだ船に監禁される緊迫の事態に。原の呼びかけで集まったたくさんの島民が船を取り囲むようにありったけの漁船を使って駆けつけるシーンはかなり芝居がかっているものの、絶妙にスカッとする感動的なシーン。

1巻から海の男・原さんの男気が炸裂しっぱなし😊

貴重なESWLが一度も使われることなく、ボロボロになってしまったのには苦笑しつつも、人の命に比べたら安いものだというコトー先生の言葉にじんわり。


・10番目の手術:小学校教諭の息子・小沢マサト
島の暮らしに馴染めずに夫婦喧嘩が絶えない両親とのギスギスした生活に必死に耐えるメガネの優しい男の子。同級生たちと仲良くなりたくて一人でキノコを探しに出かけて崖から転落。第一発見者の子供たちからSOSが届き、コトー先生が現場に急行して応急手当をしたことで一命をとりとめる。

心配した大勢の島民たちが診療所に駆けつけ、手術の成功を家族のように喜ぶ姿に涙を流す両親。

これ以降の小沢先生は児童に分け隔てなく接する優しい先生になるのだけど、それ以前の先生があまりに無責任すぎて...。島の暮らしに馴染めず、3月病でイライラが溜まって何も悪くない教え子のタケヒロを思いっきり殴打😰

このシリーズは人と人との絆や人情を描きつつも、大人が子供を安易に殴るシーンがよく出てくるのが玉に瑕。まるで大したことではないかのように、ごく自然に出てくるのが嫌だなと。


・11番目の手術:シゲさんの息子でカメラマンの安藤伸幸
漁労長のシゲさん(安藤重男)の息子。帰省中に父に半ば強引に頼まれて漁船に同乗中に網に引っかかった不発弾が爆発して腕が吹き飛ぶ重傷を負う。

無線で助けを求めてきたシゲさんにコトー先生が応急処置の仕方を丁寧に教え、シゲさんが内心の動揺をなんとか抑えて、伝えられた通りに処置したおかげで一命をとりとめる。その後、診療所に運ばれ、腕の接合手術も無事成功。

この一件でほんの少しコトー先生に対する態度が軟化するシゲさんだけど、その後も息子の命の恩人であるコトー先生をヤブ医者呼ばわりする口汚い頑固親父。息子の伸幸は父に似ず温厚な人。

3巻は偶然が重なって洞窟で一晩明かすことになるコトー先生と星野さんのほんわかエピソードも収録。この頃から二人は両想いだったのかな😉


4巻は34話~44話収録。コトー先生のかつての上司・天津堂大学付属病院の第一外科部長の奥村医師が、次期院長の座を確実なものにするために、重病を患う大物政治家の難しい手術をコトー先生に依頼し、手柄を横取りしようと企むお話。

奥村からの再三の要請に折れて東京に向かったコトー先生の前に思わぬ伏兵が登場。かつて自分が受けた屈辱を晴らそうと画策する後輩・三上の陰謀が待ち受けていて・・・。


・12番目の手術:自明党の熊谷幹事長
スキルス胃癌患者。手術の第一助手はコトー先生を逆恨みする三上先生。三上先生が検査結果を偽って報告するなど波乱の展開になりつつも、コトー先生は平常運転で妨害を跳ねのけて難しい手術を成功させる。

そんなコトー先生に感銘を受けた三上先生は、大学病院の記者会見で執刀したのは自分だと嘘をつく奥村医師の言葉を遮り、執刀医は離島の診療所から招いたコトー先生だったと真実を暴露。

すっかり心を入れ替えた三上先生はコトー先生を目指して離島診療を志すように。


・13番目の手術:悠子ちゃんの父・奥田さん
 工事の現場監督。娘はタケヒロやクニちゃんの同級生。

10数年前にエキノコックスに感染した飼い犬のゴローから感染した模様。島内の鹿やネズミがグロテスクな(腹から内臓が飛び出す)姿で死んでいるのが次々に見つかり、大騒ぎに。人から人には感染しないとのことで島内の感染者は奥田さんのみ。

父親がエキノコックスに感染したことで小学校でイジメられるようになった悠子ちゃんをクニちゃんが男らしく守る一方、大人しいタケヒロも悠子ちゃんの味方に。悠子ちゃんはクニちゃんとタケヒロの初恋の人。悠子ちゃんとクニちゃんは両想いだけど、クニちゃんはタケヒロに遠慮して二人をくっつけようとしたりするなど、何とも甘酸っぱい恋模様が進行中。

父親の奥田さんはコトー先生にエキノコックスに感染した患部を除去してもらい、無事回復するも、今度はエキノコックスの感染源として飼い犬のゴローが殺処分されるかもしれないと知った娘の悠子ちゃんが、ゴローを隠そうと山に逃げ込んで崖から転落。

体重が軽かったからか、幸いにも軽傷で済んだのだが、ゴローは悠子ちゃんを救うために老体に鞭打ったせいで、その日の夜にひっそりと衰弱死。

今回もコトー先生のおかげですべての問題が無事解決したものの、どうしても一つ気になるというか、腑に落ちないことがあってモヤモヤ。エキノコックスに感染したゴローのウンチを誤って少し食べてしまったタケヒロのこと。

まだ子供のタケヒロがこのことを大人にちゃんと告げたかどうか、あるいは検査してもらえたかどうかが描かれていなかったのがモヤるなぁと。潜伏期間が最長10数年もあるというから、これが悲劇の伏線とかにならないといいけれど・・・。

最後の44話は増生島に赴任した三上先生の離島医療奮闘記。日々悩み挫折を繰り返しながら一生懸命島民に寄り添い、診療に当たる三上先生の奮闘ぶりにホロリ。







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