作品名 : | 天空の玉座 |
漫画家 : | 青木朋 |
出版 : | 秋田書店 既刊8巻 |
ジャンル: | 歴史モノ 中華風 |
トーン : | シリアス ほのぼの |
試し読み: | 天空の玉座 |
[初出]
漫画雑誌『ミステリーボニータ』2013年3月号より連載中。既刊8巻
[あらすじ]
時は近世、とある王朝。皇太后が絶大な権力をふるう後宮へ、1人の少女が飛び込んで…!?少女珊瑚の中華冒険活劇!
[感想]
近世中国(明ー清)の世界観が取り入れられた架空の中華王朝もの。1巻の表紙はロリロリした可愛らしいヒロインの姿が描かれていますが、キャラ造形はバラエティに富んでいます。筋肉隆々な武人、美形揃いの若い宦官たち、老獪な策士たち、美魔女の皇太后など、性別・年齢・身分でしっかりと外見上の描き分けができていて、宮廷服や紫禁城の豪華絢爛な調度品、天子の食事風景など細部にまでこだわりが感じられます。
ストーリーも読み応え抜群。陰謀・汚職にまみれた王朝の実態をシビアな目線で描き出し、毎回緊張感が途切れない展開となっています。この辺りは中国の歴史に造詣が深いという作り手の思い入れの深さ・強さを感じます。
王朝の腐敗を史実寄りに描いているのでシビアな展開が続きますが、決して絶望感が漂っているというわけではありません。ヒロインと仲間たちとの心温まるエピソード、今後ロマンスに発展しそうな草原の王との出会いなどによって、ヒロインが制約された環境の中でもなんとか知恵を絞って少しずつ仲間を増やしていく様子など、今後の展開に期待感を抱かせることも忘れていません。
何よりもヒロインが単に自分の幸せのためではなく、苦しんでいる民を救いたい、窮地に陥れられている仲間を救いたいと思って一生懸命動いているところに共感を覚えます。
【ネタバレ】
巻を追うごと(3・4巻)に天子の味方勢力が増えてきたことを頼もしく思う反面、皇太后を失脚させるクーデターの計画があまりにもスムーズに進みすぎて嫌な予感を覚えたら、ああやはり・・・😨
兄の蓬來が裏で通じていたことが判明。せめて妹への愛情だけは本物であってほしいと思っていたけれど。どす黒い世界で生き延びるために損得勘定だけで動くようになったのか、あるいは無感情人間に徹することで己を防御しているのか、本性がいまだ窺い知れないキャラ。
クーデターの失敗=死を意味することは当然とはいえ、あまりに酷な結末。義を重んじた佐明、反皇太后の義士たちの無念の死。せめてもの救いは王五と嗣堂が逃げ延びてくれたこと。
5巻から第二部がスタート。クーデターの失敗から3年が経過。紫禁城では天子の味方勢力が一掃されてしまい、皇太后が相変わらず権力を掌握したまま。ヒロインは見掛け上、天子の唯一の寵妃状態。実際は天子とヒロインの間に夫婦関係はなく、今まで通りベッドでおしゃべりをし、傷心の天子を励ましているだけ。
皇太后は天真爛漫で無欲なヒロインのことを気に入っているようだけど、二人の間に待望の男児が誕生次第、自分の権力を維持するために天子とヒロインを抹殺しようと考えているみたですね。お気に入りのレベルが使い捨ての玩具程度なのは明白。皇太后の冷酷さはどこかヒロインの兄・蓬來のいびつさとも相似していて、権力者の無情な部分をシビアに描き出しています。
僧侶に扮して逃げ延びた王五たちは依然として行方知らず。天子の幼馴染・知花は妃の座から転落し、さらに劣悪な環境に置かれながらも、前向きに健気に生きています。知花の境遇にずっと心を痛めていたヒロインが最新刊の8巻で、ついに行動に出て・・・。
義士に扮して知花のピンチに駆け付けるという驚きの展開。
またこの最新刊では蒙古とのいざこざに巻き込まれたヒロインがアルタンと劇的な再会を果たします。天子との夫婦関係はお芝居だとバラしたり、それに対して「なんでそんなことを俺に力説するんだ?」とからかうアルタンとのやりとりが微笑ましかったです😊
僧侶に扮して逃げ延びた王五たちは依然として行方知らず。天子の幼馴染・知花は妃の座から転落し、さらに劣悪な環境に置かれながらも、前向きに健気に生きています。知花の境遇にずっと心を痛めていたヒロインが最新刊の8巻で、ついに行動に出て・・・。
義士に扮して知花のピンチに駆け付けるという驚きの展開。
またこの最新刊では蒙古とのいざこざに巻き込まれたヒロインがアルタンと劇的な再会を果たします。天子との夫婦関係はお芝居だとバラしたり、それに対して「なんでそんなことを俺に力説するんだ?」とからかうアルタンとのやりとりが微笑ましかったです😊