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2020年8月7日金曜日

菅野文『薔薇王の葬列』第12巻 あらすじ


薔薇王の葬列 12

月刊プリンセス掲載
(2019年3月号~7月号)

ついに刎ねられたヘイスティングスの首。周りは騒然とするが・・・。

ヘイスティングスの首を持ち上げ、壇上にさらすリチャード。かつては親友・戦友であっても、悪魔に魂を売り渡せば地獄行きだと凄味を利かせる。

リチャード派のハワード卿が高らかに神の正義が勝利したと宣言する。王太后とその一族によるグロスター公暗殺未遂事件が発生したが、ヘイスティングスが処刑され、陰謀は未然に防がれたと発表し、グロスター公の機転を讃える。

スタンリー卿は立場が危うくなったのに気づいて慌てて許しを請う。そのことを巧みに利用したリチャードは、大勢の前でスタンリー卿を許して寛大さを示し、他の者にも投降を呼びかける。国のために手を取り合えるなら、先刻まで自分の死を願っていた者たちを兄弟と呼ぼうと不気味な笑みを浮かべるリチャード。

部屋に戻ったリチャードは、両手で持ったヘイスティングスの首をじっと静かに見つめる。その姿を見て「まるでサロメだ」と独り言のようにつぶやくバッキンガム。ヘイスティングスの胴体を運んでいるケイツビーに首をそっと預け、「兄上のそばに埋めてやれ」と命じるリチャード。

王太后にもヘイスティングスが処刑されたことが告げられる。ハワードはリチャードの意向として王弟を王宮に返すことを条件に王太后に寛大な処置をとることを伝えるが、それを聞いた王太后はショックのあまりその場に倒れこむ。覚悟を決めた様子で王弟が母に声をかける。心配しないで、王宮へ行くと。そんなのダメよと反対する母をぎゅっと抱きしめた王弟は、ハワードたちに聞こえないように「僕がリチャードを殺る」と不敵な笑みを浮かべ・・・。

場面が変わって王宮でのやりとり。エドワード5世の戴冠式を延期するように進言するリチャードたちに対し、王弟リチャードは1週間後の夏至に戴冠なさるのがもっと相応しい日だと強く主張する。余興として二手に分かれて狩りで勝負する案を出す王弟にエドワード5世はいたくご満悦になる。

勝負に負けた方はもっとも大切なもの、妻と子を宴に差し出すように言い渡す王。どうするかは自分が決めると不気味に笑い、夏至に戴冠式を行うように王令を出す。

王宮の庭を歩くリチャードとバッキンガム。王令とあらば妻子を呼び寄せるしかないが、本来の王妃と王子に危害は加えさせないというリチャード。その前にあの暴君を玉座から蹴り降ろしてやると。

ついにこの時が来たなというバッキンガム。

「あんたと俺の待ち焦がれた瞬間が」

そのときはもう誓約の証を示す必要ないというバッキンガム。なぜなら王の身体はこの国のものだからと。それを聞き、途端に見捨てられた子供のような表情を浮かべるリチャード。

「おれは・・・お前がいないと眠れない・・・」

はっとして口を押え、忘れろと撤回するリチャードを抱きしめるバッキンガム。

「交わりだけが誓約じゃない。あんたの望みを言え」

ただそばにいてくれというリチャード。バッキンガムの胸にそっと顔を埋めて…。

リチャードの妻子がリチャード邸に到着。白い豬(リチャードは"白いの"と呼んでいる)を見つけた息子エドワードは大はしゃぎ。一方、アンはリチャードがエドワード5世から王位を奪おうとしていることに気づいてリチャードをビンタする。そんなことは絶対に許されない、リチャードを殺してでも私が止めるというアン。しかし、王が狩りの勝負の相手をリチャードとアンに絞り、二人を陥れて息子エドワードにまで危害を加えようとしていることを知り・・・。

戴冠式の前日、リチャードを暗殺するための周到な罠が張り巡らされた中で狩りの勝負が行われる。アンと引き離され、刺客に襲われて負傷するリチャード。刺客の一人はティレルだった。リチャードが別の刺客によって負傷したのを目の当たりにしたティレルは、激高して刺客たちに襲い掛かる。男たちを蹴散らし、リチャードを安全な場所に移したティレルは、駆け付けたケイツビーに後を託して去っていく。その後まもなくしてバッキンガムが到着し、リチャードを無事発見する。

悪夢にうなされていたリチャードがバッキンガムの腕の中で目を覚ます。ほっとするバッキンガムにすがりつくリチャード。二度と悪夢など見せるな、お前のせいだと言うリチャードに「半身を失えば、残された半身も死ぬ」と狂おしそうに抱きしめるバッキンガム。

王の陰謀を知ったアンは、どちらも対等の悪ならこの国と守るべき者のためにリチャードを選ぶと宣言。

危機を脱したリチャードたちは、エドワード5世の不当性を主張し、戴冠式がまだ済んでいない今なら過ちを正せる、正義を遂行しろと王宮貴族や騎士たちを扇動する。先王にはエリザベスと出会う前に結婚していた女性がおり、エリザベスが国王の正式な妻ではないことを多くの証言をもとに暴き出し、正当な王ではないエドワード5世とその弟をロンドン塔へ連行することに成功するリチャードたち。

かくして政敵は消え去ったものの、依然としてリチャードを悪魔だと信じる者たちが大勢おり、「悪魔に王冠を渡すな」と塔の周りを群衆たちが取り囲み・・・。

次巻につづく


薔薇王の葬列 12
第51~55話まで収録されています。


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