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2015年5月26日火曜日

樹なつみ『OZ完全収録版』全5巻

作品名: OZ 完全収録版【全5巻】
漫画家: 樹なつみ
出版: 白泉社 
単行本全4巻 文庫本全5巻
ジャンル: SF アクション
トーン: シリアス せつない
関連作: オズマニュアル
OZ [Laser Disc]


[初出・内容紹介]
1988年ララ増刊「AUTUMN CLUB」~『ララ』1992年6月号掲載。1992年にアニメ化(OVA作品)、1993年に星雲賞コミック部門を受賞。2005年にはスタジオライフにより舞台化もされた。単行本は全4巻。完全収録版は、ジェッツコミックス版原稿に大幅加筆、雑誌掲載時のカラーイラストを完全収録!さらに2・3・4巻にはコミックス未収録の番外編3作品を収録!

[あらすじ]
2021年、第三次大戦後の荒廃した世界。だが、「戦いも飢えも無い」という伝説の都・OZを目指す一行がいた……。壮大なSFアドベンチャー!!

[感想]
緻密なSF設定と深みのあるキャラ。90年代後半くらいの作品かと思っていたので、初出が1980年代後半とあり、驚きました。今の時代にも通用する完成度の高いSF、その斬新で奥深い世界観に魅せられました!

特に私が魂を揺さぶられたのは、ヒューマノイドの描き方。ただ単に人間に近い存在として描くのではなく、なぜ感情を持つのか、製作者の意図を超えた潜在能力が発揮される条件などを緻密に細部までこだわって描いているので、ヒューマノイドと人間とのかかわりにおいて、リアル感が伴ってせつなさが増すんですね。

19というヒューマノイドの存在。人間との密接な交流により、自己を確立していく過程、別人格のデータである表層プログラムと深層プログラムの食い違いにより混乱をきたしながらも、一人の人間に魅せられたことで、その人のことを守りたい、消えたくないとの強い意思が現行プログラムを上書きするほどの潜在能力を呼び覚ますという心揺さぶる展開・・・

19をそれほど惹きつけてしまうムトーという男の魅力。誰にもへつらわない、ある意味、不遜。しかし、本当の優しさを持ち合わせている男・・・・。そんなムトーを守ろうとして取った19の決死の行動が胸を打ちます。そして、その時、ムトーが19にかけた言葉と行動が・・・・せつない。

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