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2018年3月18日日曜日

いがらしゆみこ(モンゴメリ原作)『赤毛のアン』全3巻ネタバレ感想

作品名 : 赤毛のアン
漫画家 : いがらしゆみこ
原作 : モンゴメリ
出版  : 単行本全3巻
ジャンル: 島 友情 家族愛
トーン : ほのぼの
試し読み: 赤毛のアン

[あらすじ]
グリーン・ゲイブルズに住むマシュウとマリラの兄妹は、孤児院から男の子をひきとることにします。ところがやって来たのは、アンという空想好きな女の子でした……。赤毛でおしゃべり、感激屋のアンが、グリーン・ゲイブルズで繰り広げる物語をいがらしゆみこの作画でお届けします! 泣いたり笑ったり、元気なアンの姿をおたのしみください。

[感想]
赤毛のアンの優しい世界が美しい画風で生き生きと表現されています。アンの子供時代のエピソードがメインで、おしゃべりで空想家で感情の起伏の激しい孤児のアンが、子育て経験がない初老に差し掛かった兄妹のもとに手違いから引き取られるところから始まります。無邪気なアンと温和なマシューの初対面から既にジワリとくるものがありました。ああ、マシューはそういう人だったなぁとしみじみ。

グリーン・ゲイブルズにやって来たばかりの頃のアンは、空想と現実の境界線があいまいなためか、持ち前の感受性の高さが災いして様々な失態を演じることになりますが、その度にアンは彼女なりのやり方で学びを深めていきます。個性が強く、人と違っていても、どうしたら人に嫌われずに受け入れられてもらえるかを体当たりで学習し、読者に示してくれるアン。

アンの強烈な個性を否定しなかったマシューとマリラ。この素朴で実直な養父母の存在はアン作品の根幹をなし、物語に深みを与えています。寡黙で温和なマシューと、善良だけど躾けに厳しいマリラ、この二人の絶妙なハーモニーによって、アンはまっすぐしなやかに育っていきます。

アンの子供時代を描いた1巻は、同年代の子供たちが読めば、きっと感受性をぐいぐい刺激されるはず。もちろん、大人が読んでもグッとくる作品に仕上がっています。いがらしさんの漫画は原作の中から子供時代・思春期の重要なエピソードを抽出し、生き生きと表現されていますが、紙面の都合上、分厚い原作のようにはいかない部分もあるので、興味を持たれた方はぜひ原作も味わってみるといいでしょう。

原作ではアンの結婚後や次世代の話まで入れると完結までかなり長い物語なので、よっぽどのファンじゃない限り全部読破する気になれないかもしれませんが、アンの成長とともに取り扱うエピソードも深みが増していきますし、アンのその後についても、お腹がいっぱいになるまで味わうことができます。

特にギルバードとの関係はプロポーズに至るまでの紆余曲折、子供時代から大人になるまでの間にあった数々のやりとりを通してアンの気持ちが少しずつ揺れ動く様子、素直になれない二人の心理戦などが丁寧に綴られています。

いがらしさんのコミカライズは『アンの青春』『アンの愛情』まで。


赤毛のアン


赤毛のアン


赤毛のアン


アンの青春


アンの愛情

ギルバートとの新婚生活とそれ以降のエピソードは原作で追うことができます。

赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ1―(新潮文庫)
アンの青春―赤毛のアン・シリーズ2―(新潮文庫)
アンの愛情―赤毛のアン・シリーズ3―(新潮文庫)
アンの友達 赤毛のアン・シリーズ 4 (新潮文庫)
アンの幸福 赤毛のアン・シリーズ 5 (新潮文庫)
アンの夢の家 赤毛のアン・シリーズ 6 (新潮文庫)
炉辺荘のアン―赤毛のアン・シリーズ7―(新潮文庫)
アンをめぐる人々 赤毛のアン・シリーズ 8 (新潮文庫)
虹の谷のアン 赤毛のアン・シリーズ 9 (新潮文庫)
アンの娘リラ 赤毛のアン・シリーズ 10 (新潮文庫)

ちなみにシリーズ9作目の『虹の谷のアン』は原ちえこさんがコミカライズしています。


虹の谷のアン

新婚時代のお話ではないけれど、ギルバートと幸せな家庭を築いたアンの日常にほっこり。
”結婚したアンとギルバートは6人の子供に恵まれて、故郷のプリンス・エドワード島で暮らしている。家族の住む炉辺荘(イングルサイド)の近くにある美しい谷 ”虹の谷”は、子供たちにとって特別な場所だ。新しく村にきたメレディス牧師の4人の子供たちが仲間になり、虹の谷はにぎやかに。ある日、メアリという家出少女をかくまうことになり……。原ちえこが愛した”赤毛のアン”シリーズ(訳・村岡花子)の珠玉作!”



赤毛のアン


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