プリンセス 2018年 08 月号 [雑誌]
次々と邪魔者を粛清し、強大な権力を手中に収めつつあるリチャードとバッキンガム。だが、聖院に幽閉中の王太后エリザベスは、中立的立場のヘイスティングス卿と接触するなど、静かに反撃の準備を進めていた。
根が単純なヘイスティングスは、エリザベスが演じて見せる、清貧な生活を送っている誇り高き王太后の姿に感銘を受け、あっという間に懐柔されてしまう。そして、王太后の真の思惑を見抜けないまま、聖院通いを始めるヘイスティングス。しかし、そのことに気付いたバッキンガムに見とがめられ・・・。
慌てて釈明するヘイスティングス。王太后はすっかり心を入れ替えており、会っていることに変な意図はないと。さらなる弁明を求めるバッキンガム。やましいところはないと困惑した様子で繰り返すヘイスティングス。そこにケイツビ―が現れ、主君の王家への忠心を毅然とした態度で誓う。
「もし私の言葉に嘘偽りがあれば、私をお罰しください」
それならば、ヘイスティングス卿の代理として、ケイツビ―に話があるからついてこいと命じるバッキンガム。
一方、イーリー司教を味方につけるために自身の体を武器にするリチャード。本気で発情したイーリー司教から羽交い絞めにされた途端、ぞっとして抵抗をはじめる。そこにタイミングよくティレル(もはやストーカー😅)が従者に変装した姿で扉の前で声をかけ、リチャードの許可を得て入ってくる。邪魔が入って我に返ったイーリー司教から、このことは二人だけの秘密にしていただきたいと懇願され、承諾するリチャード。
水汲み場で口を漱ぐリチャードに、そっとタオルを渡すティレル。
「無理はしないで・・・貴方が傷ついたら僕は悲しい・・・」
懐かしい響きがする声に、驚いて顔をあげるリチャードだが、そのときにはティレルの姿は消えていた。
リチャードが部屋で入浴しているとバッキンガムが入ってくる。バッキンガムはイーリー司教が金ではなく、身体を要求したと聞き、嫉妬で顔色を変えるが、未遂に終わったと知ると、ようやく冷静さを取り戻す。誓いを破っていないか確かめないのかと聞くリチャードに、信用しているというバッキンガム。いいから確かめろと誘惑するリチャード。
ケイツビ―にお礼を言うヘイスティングス。ケイツビ―ほど清廉実直な男は見たことがなく、主人冥利につきると。一人きりになると浮かない顔になるケイツビ―。バッキンガムに言われた言葉が頭から離れずにいた。「お前の主は誰だ?お前にリチャードは救えない」
リチャードとバッキンガムが裸で求めあっている最中にケイツビ―が訪ねてくる。扉の前で面会を求めるケイツビ―に慌てた様子で今は無理だ、出直せと狼狽気味に言うリチャードだが、それを打ち消すように入ってくればいいと許可するバッキンガム。
ケイツビ―に見せつけるように、裸体をシーツに包んだリチャードをすっぽりと抱きしめる全裸のバッキンガム。ケイツビ―の視線をまともに受け、動揺を隠せないリチャード。ケイツビ―は冷静な態度でリチャードの前まで進んで片膝をつき、ヘイスティグス卿の聖院通いを報告する。裏切りの兆候があれば、ただちに処断するというケイツビー。
リチャードはヘイスティングスは王家に忠実だが、自分は王冠を手にするためにヨークの血すら裏切ろうとしていると、自虐気味に心の内を吐露する。
そんなリチャードに対して、片膝をつき、頭を下げていたケイツビ―が、迷うことなく、忠誠を誓う言葉を口にする。
「私の主は、生涯ただおひとり お父上から幼き御身をこの手に託された瞬間から、リチャード様、貴方だけです」
左手を差し出すリチャード。差し出された左手に接吻するケイツビ―。
二人のやりとりを険しい表情で見つめていたバッキンガムが、そういうことなら、これからはリチャードの半身である自分の命令はリチャードの命令と心得よと、ケイツビ―に冷たく言い渡す。そのことを当然のこととして受け止めるケイツビ―だったが、次の瞬間バッキンガムから恐ろしい言葉が飛び出し・・・。
「では、手始めにヘイスティグス卿の首を切り落としてもらおうか。それが誓約の血の証となる」
薔薇王の葬列 11
そんなリチャードに対して、片膝をつき、頭を下げていたケイツビ―が、迷うことなく、忠誠を誓う言葉を口にする。
「私の主は、生涯ただおひとり お父上から幼き御身をこの手に託された瞬間から、リチャード様、貴方だけです」
左手を差し出すリチャード。差し出された左手に接吻するケイツビ―。
二人のやりとりを険しい表情で見つめていたバッキンガムが、そういうことなら、これからはリチャードの半身である自分の命令はリチャードの命令と心得よと、ケイツビ―に冷たく言い渡す。そのことを当然のこととして受け止めるケイツビ―だったが、次の瞬間バッキンガムから恐ろしい言葉が飛び出し・・・。
「では、手始めにヘイスティグス卿の首を切り落としてもらおうか。それが誓約の血の証となる」
薔薇王の葬列 11