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2018年12月1日土曜日

『一の食卓』第1巻~6巻ネタバレ感想【樹なつみ】

 作品名: 一の食卓
 漫画家: 樹なつみ
 出版 : 既刊6巻
白泉社 2015/3~2018/2
 テーマ: 歴史モノ グルメ
 トーン: シリアス ほのぼの 
 関連作: -
 試し読み: 一の食卓

[あらすじ]
日本人にとっての「はじめて」が西洋から雪崩れ込む明治4年。東京・築地の外国人居留地にある「フェリパン舎」で働く少女、西塔明はひょんな流れから、謎の男=藤田五郎を紹介され、一緒に働くことになる。一見怖いが、明が作ったパンを、初めて残さず食べてくれた日本人……。だがその男こそ、かつて「壬生の狼」と恐れられた新選組・三番隊隊長=斎藤一、その人だった!! 巨匠・樹なつみが初めて挑む、時代劇&グルメコミック!!

[感想]

明治初頭を舞台に東京・築地の外国人居留地でフランス人の営むパン屋「フェリパン舎」で日本人女性初のパン職人になった15歳の少女・明(はる)と、そこで下男として働きながら明治新政府の要人の密偵として暗躍する元新選組の三番隊隊長・斎藤一こと藤田五郎と元隊士清水卯吉、その後、新たに元新選組の十番隊隊長・原田左之助、二番隊隊長・永倉新八も加わり、「フェリパン舎」の日常を中心に、新政府と不満分子の動静に触れながら、ヒロインと元新選組のメンバーたちが新しい時代をどのように生きていくのかを描いた作品。

頑張り屋のパン職人のヒロインと、見目麗しい男たちのドラマチックな交流に好奇心を掻き立てられますが、「この話はフィクションです。」と奥書にあるように、歴史上の人物や事件がたくさん出てくるわりに創作部分が大きいので、史実と異なる展開に少し戸惑ってしまう部分も。

舞台となる外国人居留地の実態やパン屋も創作なのかな?どこまでが史実でどこからが創作なのか、参考文献を明示したり、この作品を描くにあたっての思い入れや調査したことなどを各巻のあとがきで創作秘話として触れてくれていたら、もっと作者の意図や方向性を理解しやすかったかなと。

以下ネタバレ注意↓

新選組の生き残りが外国人居留地で暗躍するという斬新な題材と外国人相手に商売をするヒロインをはじめとする日本人たちの和洋折衷の発想が面白い作品。惜しむらくはストーリー運びが雑な印象を受けること。

5巻の過去編で五郎さんにあんな素敵な幼馴染み(女中の子どもなので身分違い)の女性がいたのに、その女性が残酷な死に方をします。これが繊細な心理描写で展開されるシリアス路線のストーリーならまだ受け入れられるのですが、基本がおとぼけ系でヒロインとオーナーのフランス人のフェリ、元新選組メンバーとのやりとりのほとんどはホンワカほのぼのとしているにもかかわらず、五郎さんと両想いの女性にはなんと冷淡で残酷な運命を背負わせることかと思ってしまいました😥

ヒロインとのロマンスにとって邪魔な存在だからなのか、あっさりお涙頂戴の道具にされてしまった感じがなんとも残念。心優しく凛とした女性でお気に入りのキャラだったので、彼女の最期はもう少し丁寧に描いてほしかったなぁ。

男性陣の美しさは文句なし。ただ、土方と五郎、沖田と卯吉の顔が似すぎているのが惜しいなと。髪型を除けば美形はほぼ同じ顔つきなので、もう少し人物の描き分けをお願いしたいところ。

個人的には侍好きのフェリのキャラがお気に入り。オンオフの落差の激しさ、お笑い系が入っているとはいえ、人を見る目があり、相当柔軟な心の持ち主であることが伝わってきます。



一の食卓


一の食卓 2


一の食卓 4


一の食卓 6





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