
作品名 : | ゴールデンラズベリー |
漫画家 : | 持田あき |
出版 : | 既刊3巻 祥伝社 (2021/3・11・2022/7) |
ジャンル: | 芸能界 恋愛 |
トーン : | コミカル |
試し読み: |
[あらすじ]
仕事が続かない男×恋が続かない女 芸能界サクセス・ラブ・ストーリー! 学歴・高収入・高身長なハイスペック青年、北方啓介32歳。しかしその実態は、勤めては辞めてばかりの「仕事が続かない男」なのだった。24回目の転職でたどり着いた芸能プロダクションでも新人女優に逃げられ、また辞めようか…と腐っていたある日、男と付き合っては別れを繰り返す「恋が続かない女」吉川塁と出会う。その瞳に魅入られ、塁を芸能界にスカウトした啓介だったが… 「僕と結婚してくれませんか」 まさかその24時間後にプロポーズすることになるなんて…!?
[感想]
第1巻:第1話~4話
+描き下ろし番外編「ゴールデンカシワギー」5P
+電子限定おまけ漫画1P
第2巻:第5話~8話
+描き下ろし番外編「ゴールデンカシワギー」3P
+カバー下おまけ漫画1P
第3巻:第9~12話
+描き下ろし番外編「ゴールデンカシワギー」2P
+カバー下おまけ漫画1P
持田さんの新作は芸能界を舞台にしたキラキラしたお話。ひょんなことから芸能界入りした女優の卵がスターダムを駆け上がっていくサクセスストーリーで、恋愛要素も同じくらい大きな比重を占めています。
24回転職して32歳でようやく天職と思える芸能プロに就職した北方は、自ら発掘した美鞠をゴールデンタイムのドラマ枠で華々しくデビューさせる予定が、美鞠を勘違いさせてマネージャーである自分に恋心を抱かせてしまった挙句、商品としてしか見てもらえなかったとお披露目イベントの最中に芸能界引退を宣言されるという大失策をおかしてしまう。
解雇前提で自宅待機を命じられて激しく落ち込んでいたところ、通りで強烈な魅力を放つ美女(塁)に目を奪われた北方は、彼女を逃がしたくないとスカウトした直後に勢いあまってプロポーズまでしてしまい・・・。
雑誌でまだ連載が続いていますが、2巻時点で第25回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の大賞を受賞した作品。
2巻までは不思議な中毒性と勢いがあり、ぐいぐい物語に引き込まれました。ハイスぺなのにコミュ障な男性主人公と、来るもの拒まずで男を取っ替え引っ替えしているビッチだけど気骨があって凛としたヒロインという、今までにないマネージャーとスカウトされた新人女優の関係がなんとも斬新で、脇を固めるキャラたちも濃い人物たちが揃っているので、次々に予想外な言動を連発する登場人物たちに意表をつかれ、女優の卵のサクセスストーリーとしてもワクワクしながら読み進めました。
3巻も美鞠と塁が共演するデビュー作の撮影シーンとそれにまつわる出来事が丁寧に描かれていて途中まではすごく面白かったのですが、次第に塁マジックにコロッと落ちる男性陣(当て馬)が増えて来たのと、猪突猛進な北方だけでなく、塁まで感化されるように恋愛脳になって仕事中も二人して色ボケ状態になってしまったりと恋愛要素がサクセスストーリーを侵食する昔ながらの少女漫画になってきて、あれれ・・・という感じに。
3巻まで読んだ印象としてはハイスペなのにコミュ障で仕事が続かない男と、同じく風変りな性格で恋が続かない美女が運命的に出会い、芸能界で最強のパートナーとなっていくまでの紆余曲折が綴られていくのかなという印象。
1巻の登場シーンでは痛々しいだけだった美鞠が、意外にも頑張り屋で後から事務所に入ってきた仕事と恋の両面でライバルになるヒロイン・塁と切磋琢磨し合う関係になったのは微笑ましかったのですが、反比例するように北方の色惚け具合が悪化していく事態にモヤモヤ。
公私混同しすぎるせいで塁のマネージャーを外され、最初にスカウトした美鞠のマネージャーに戻された北方が、心の中で塁と美鞠を比較して美鞠を軽んじてしまうのは仕方がないとしても、仕事中に美鞠には上の空で対応したり、塁と美鞠が一緒にいるときに露骨に態度が違ったり、あまつさえマネージャーでもないのに塁の方を優先してしまうのは、マネージャーとしていかがなものかと思いました。
北方が塁しか眼中にないことを美鞠が気づいているのがどうにも気の毒で。ひょっとして、北方はあれで隠せているつもりなの?😓
そろそろ社長からまたガツンと言い聞かせてほしいところw
描き下ろし番外編は北方の友人・柏木(イケメンアニメーター)視点の本編裏話。こちらはどのエピソードもコミカルでクスッと笑える小話になっています。


