
| 作品名 : | 坂道のアポロン BONUS TRACK |
| 漫画家 : | 小玉ユキ |
| 出版 : | 小学館 (2012/11/9) |
| ジャンル: | ジャズ 友情 恋愛 昭和時代 |
| トーン : | せつない ほのぼの |
| 試し読み: |
[初出情報]
月刊少女漫画雑誌『flowers』(小学館)にて、2007年11月号~2012年3月号まで連載された作品。番外編は『flowers』2012年5月号~9月号掲載。淳一と百合香他、本編では語られなかったエピソード収録。「第57回小学館漫画賞一般向け部門」受賞。フジテレビ「ノイタミナ」枠で、2011年4月~6月まで、アニメ版放送。
[内容紹介〕
真の最終話がここに!感動の番外編集!!本当のラストエピソード、薫と千太郎、そして律子のその後は…?本編では語られなかった秘めた想い、地下室の楽器にまつわる切ない記憶、など、アポロンの深みを増す、番外編5編+かきおろしを収録!
[感想]
第1話(TRACK1)では、 淳一を追って駆け落ち同然で上京した百合香のその後が描かれています。聡明で凛とした女性である百合香は、淳一に養われるだけでなく、自分も働きたい、彼の負担になりたくないとの思いから、興味のある美術系の会社を片っ端から調べて、面接を受けるものの、あえなく全滅。「女性」で「高校中退した」百合香に対する面接官たちの態度が・・・😥
「あんた、若いんだしさ。他に稼げる道あるんじゃないの?女は得だよな。なんならいいお店紹介してあげようか?」
なんて、露骨にいやらしい笑顔を浮かべて言う面接官がいたり。。。
めげそうになる気持ちを奮い起こして、仕事を探し続ける百合香。
そして、ようやく見つけた仕事が、看板描きの仕事。身体はへとへとでも、笑顔で帰宅した百合香に、淳一は「よかったな、君に合う仕事が見つかって」と優しくねぎらうが・・・。
仕事が忙しくなるにつれて、淳一とゆっくりする過ごす時間が持てなくなり、2人はすれ違いの生活に。
百合香は淳一としらばく一緒に暮らしているのに、未だに結婚の話が出てこないばかりか、淳一から、会社の近くのアパートに引っ越したいなら、好きにしたらいいと告げられ、 淳一の気持ちがわからなくなり・・・。淳一、言葉が足りなさすぎるよー。
帰宅して、百合香が出て行ったことを知り、放心状態の淳一。
自分のことを優先し、百合香を東京につれてきた負い目がある淳一は好きなことを追いかける彼女を自分のために縛りつけたくない、だからこれでいいんだと己に言い聞かせようとするのだけど、百合香を失いたくないという気持ちがそれを上回り、駅へ向かった百合香を追いかけ・・・!
駅員さんの制止を振り切り、百合香を抱きしめ、キスをする淳一。
第2話(TRACK2)は律子に恋する中学生の千太郎弟が主人公。律子が薫と再会する前の、離れ離れになっている間のエピソードみたいですね。千太郎弟が、律子に言い寄るしつこい先輩から彼女を必死にガードします。
さすが、千太郎の弟。自分の恋心を隠して、律子を守る姿にキュンときました。男前!
第3話(TRACK3)は音楽好きな律子の両親の馴れ初め話。素敵なご両親。戦時中のお話なので、かけがえのない親友を亡くしたり、色んな無念を抱えながらも2人が前を向いて歩いて行く姿にじんわりしました。
第4話(TRACK4)は家出した千太郎が九州の小さな離島の教会で見習い神父(助祭)になろうと思い立つきっかけとなったとおぼしきエピソードが描かれています。海でおぼれて記憶喪失になった千太郎が、離島の子供たちと音楽を通じて仲良くなり、さらにその子供たちを介して神父さんとも親交を持つようになったようです。
ただ、神父になった経緯については具体的に明かされていないので、千太郎が何を思い、神父になろうと決意したのか、そのことをもっと知りたかったです。千太郎のターニングポイント、人生最大の決断なので、ここは丁寧に描いてほしかったなぁ・・・。
最終話(TRACK5)は九州の離島で全員集合。九州の病院に勤務しながら、離島の診療所も手伝っている薫と妊娠中の妻・律子。離島で神父になった千太郎とは、ジャズのセッションで、頻繁に顔を合わせている様子😉
千太郎が蒸発してから初めて顔を合わせた淳一は、神父姿の千太郎を見て大爆笑!
淳一と百合香のところには母親そっくりの美しい双子が誕生!百合香も離島に来たがっていたらしいのだけど、子供がまだ小さいということで、実家に挨拶がてら帰省中。双子の写真を見た千太郎の一言。
千「こりゃ、大きゅうなったら絶世の美人になるばい。俺が保証する」
千太郎、薫、淳一の3人が、ぎゃあぎゃあふざけているところにセッション始まったかいと律子父登場。律子のお腹にいる小さな命に愛のこもった音楽のプレゼント♪
こんなあったかい仲間に囲まれ、素敵な両親のもとに生まれてくる子供は、なんて幸せ者なんでしょう♥
胸がぽかぽか、幸せな余韻にたっぷり浸れる番外編でした!
