
ついに刎ねられたヘイスティングスの首。周りは騒然とするが・・・。
ヘイスティングスの首を持ち上げ、壇上にさらすリチャード。かつては親友・戦友であっても、悪魔に魂を売り渡せば地獄行きだと凄味を利かせる。
リチャード派のハワード卿が高らかに神の正義が勝利したと宣言する。王太后とその一族によるグロスター公暗殺未遂事件が発生したが、ヘイスティングスが処刑され、陰謀は未然に防がれたと発表し、グロスター公の機転を讃える。
スタンリー卿は立場が危うくなったのに気づいて慌てて許しを請う。そのことを巧みに利用したリチャードは、大勢の前でスタンリー卿を許して寛大さを示し、他の者にも投降を呼びかける。国のために手を取り合えるなら、先刻まで自分の死を願っていた者たちを兄弟と呼ぼうと不気味な笑みを浮かべるリチャード。
部屋に戻ったリチャードは、両手で持ったヘイスティングスの首をじっと静かに見つめる。その姿を見て「まるでサロメだ」と独り言のようにつぶやくバッキンガム。ヘイスティングスの胴体を運んでいるケイツビーに首をそっと預け、「兄上のそばに埋めてやれ」と命じるリチャード。
王太后にもヘイスティングスが処刑されたことが告げられる。ハワードはリチャードの意向として王弟を王宮に返すことを条件に王太后に寛大な処置をとることを伝えるが、それを聞いた王太后はショックのあまり、その場に倒れこむ。覚悟を決めた様子で王弟が母に声をかける。心配しないで、王宮へ行くと。そんなのダメよという母を抱きしめながら、ハワードたちに聞こえないように「僕がリチャードを殺る」と不敵な笑みを浮かべ・・・。
4月号につづく
12巻が発売されました!