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2020年6月29日月曜日

田村由美『7SEEDS』第34・35巻(最終巻)あらすじ&ネタバレ感想

作品名 :7SEEDS 31~33
漫画家 :田村由美
出版  : 小学館 (2017)
ジャンル: SF・近未来 サスペンス
トーン : シリアス せつない
試し読み: 7SEEDS 34

[作品紹介]
『別冊少女コミック』2001年11月号から連載を開始。2002年より、『月刊フラワーズ』に移籍して2002年6月号から2017年7月号まで連載された。2007年、平成18年度(第52回)小学館漫画賞少女向け部門受賞。

[あらすじ]
佐渡島の地下にある”方舟”内に眠る105人の子ども達の救出を急ぐ一行。新巻の決死の行動で、危機を切り抜けた花は、ナツ達と合流し、方舟の内部へ。そのまま地上を目指そうとするが、水グモの襲来や、トンネル内火災が発生!脱出までのタイムリミットが迫る中、メンバー達は稼働スイッチを操作するけれどーーー!?いよいよ、クライマックス! 

[感想]
16年続いた7SEEDSがついに完結。

長年追いかけてきた作品なので作中人物たちへの愛着もひとしお。田村さんの最高傑作『BASARA』は私の中でずっと不動の一位だけど、このシリーズもとても面白かったです。

緊張感みなぎるハラハラドキドキのドラマチックなストーリーがもたらす中毒性もさることながら、たくさん登場するキャラたちの描き分けがなんといっても素晴らしく、物語の進行に合わせてメンバーたちの人となりが時には弱い部分も含めていきいきと描かれています。

最終的には要さんや涼などニヒルな人物たちも含めてどのキャラにも人間的魅力が感じられたところにぐっときました。メンバーとのやりとりの中でそれぞの個性が人間的な深みとしてどんどん引き出されていく描かれ方が味わい深かったです。

以下は34巻・最終巻のあらすじ&レビュー:



7SEEDS 34

方舟の内部に入った花チーム(花・蝉丸・なっちゃん・朔也)は地上を目指そうとするが、方舟を格納しているシェルターの天井が開かない事態が発生する。

安吾チーム(安吾・涼・まつり)は別ルートで脱出を図るが、その途中で意外なエピソードが展開される。まつりが勇気を出して涼の態度を諫めたのだ。メンバー(花など)への度重なる心ない発言を目の当たりにしたまつりは、そういうのは良くないと諫め、そういう露悪的な態度は相手だけじゃなく、自分も傷つける行為になるのだと諭す。故意に人を傷つけてざまあみろと思ってるのは横からみたらかっこ悪いよと。

偉そうに俺に意見するのかよ、バカにするなよと激高する涼。今までみたことがないような怖い顔をする涼を見て泣き出すまつり。嫌われたくないけど、間違ってると思ったことはちゃんと伝えたいと感じるまつり。涼が怒りを露わにするなんて珍しいと意外に思う安吾。

嵐チーム(嵐・新巻・あゆ・角又・ハル・小瑠璃)はひばり(佐渡の巫女の家系、頭脳明晰な子供)たちと合流して地下の最東端にあるケーブルカーで地上を目指す。ただ、嵐は途中で別行動をとることに。方舟の格納されているシェルターの天井が開かないとの連絡が入ったからだ。新巻が落下した場所に操作盤があったことを思い出す嵐。自分も一緒に行くという新巻に、方舟の中には自分の所属する夏Bメンバーと花がいるから自分が行くべきだと主張し、一人来た道を戻る嵐。

一方、安吾チームは険しい壁を登って施設から脱出することに。途中で一緒にいた新巻の飼い犬ダイが別方向に走り出す。まつりが名前を呼んで呼び戻そうとするが、ダイの姿はすぐに見えなくなってしまう。探しに行こうとするまつりに安吾が「ほっておけ。どうせ犬は壁を登れない」と制止する。悲しい表情をするまつり。自分も壁なんて登れない。二人についていけないと失望し、ダイを探しに行こうとするが・・・。

まつりがいなくなったことに気づいた涼が来た道を戻ってまつりを確保。勝手にウロウロするなとまつりを鷲摑み。そんな涼にまつりが再度勇気を出して真摯な想いを伝える。はっきりものを言ったら気分悪いだろうけど、涼くんの長所も短所ももっと知りたいから嫌がられてもついていきたいと。

涼より先に安吾が返答。巨大クモは音に反応するから大声を出すなと冷静なツッコミ。行くぞとまつりに声をかける涼。「言っとくが俺に悪いところなんかない」と付け加える😉

ダイが向かった先は嵐のところだった。利口な犬のおかげで命拾いする嵐。

くるみはそばにつきっきりで支える流星と通信機能のあるロボでつながった仲間たち、特に医療従事者の鷭や医療系ボランティア経験者の藤子の適格なアドバイスや励ましを受けながら鍵島内で無事に女児を出産する。

身重のくるみを探していた要さんは、くるみが無事に出産したことを確認すると、二人を人喰い虫から守るために自分自身に油を注いで巨大蟻の行列を自分の方に引き寄せる。


7SEEDS 35

嵐が操作盤まで戻ってボタンを押したおかげでシェルターの天井が開き、花チームは方舟で地上を目指すが、船体に巨大なクモの糸が大量に巻き付いていて、上昇を阻まれる。自信満々に操縦を買って出た蝉丸が船体を高速回転させてクモの糸を切り取る荒技でピンチを脱する。

高くそびえたつ断崖絶壁を登る準備を始める安吾たち。恐怖で足が震えるまつりに「登れるか」と聞く安吾。登りたいけど本当は無理と答えるまつり。それなら一人で戻らせるかという安吾に、死ぬ気で登れと凄みを利かせてまつりに命令する涼。「連れて行く。こいつは俺には必要だ。」ときっぱり告げた涼は、俺が支えるから登れとまつりを抱き寄せる。その言葉を聞き、微笑する安吾。

鍵島では秋チームのくるみと流星と二人の赤ちゃんのところにチームメイトの苅田(柔道家)・茜(海女)と夏Aの源五郎が到着。巨体の苅田がくるみを抱いてお蘭さんたちとの合流場所に向かう。苅田はその直前、通路の端で蟻にたかられている要さんの手を発見する。衝撃を受けた苅田は、あまりにショッキングな事実をメンバーに伝えることができなかった。

全チームが着々と地上へと近づく中、地下に取り残された嵐は度重なる発電所の爆発で通路や壁が破壊され、立ち往生していた。そんな嵐と犬のダイを小瑠璃がハンググライダーに乗って救出。

要さん以外の全員が無事地上に生還する。

仲間の無事と再会を喜び、抱き合うメンバーたち。

たくさんのメンバーがいる中、嵐と花の再会シーンに多くのページを割いていたのが少し残念。大きなコマで花と嵐が遠くから見つめあう描写に10ページ。交互に二人の表情の変化をスローで見せていく形。それに10ページはちょっともったいなかったなぁ。他のメンバーのやりとりももっと見たかったです。

角又とあゆのやりとりが特に面白かったです。一人目は新巻との子を考えているけど、二人目はあなたとでもいいかなと発言するあゆ。「あなたも候補に入れといていいかしら」とあゆに聞かれた角又の返しが秀逸でした。冷静で大人な反応にほっこり。

地上は原始的な雰囲気の密林でしたが、方舟の中で眠らされている子供たちはずっと放置のままで大丈夫なのかなと気になりました。いつか子供たちを解凍してあげなくてはと角又が言っていましたが、佐渡の施設が壊れてしまい、電気は使えないはず。今後どんな風にカプセルの子供たちを守っていくのでしょうか。未来の話だから電気に代わる発明品があるということなのかな。外伝でその辺のことにも触れられているといいのですが。



7SEEDS 35





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