
15巻:66話~69話収録
16巻:70話~74話収録
15巻・16巻はリチャードが愛した人たちが次々に物語から退場。どの別れのシーンも壮絶でリチャードの悲しみと喪失感がひしひしと胸に迫ってきました。15巻・16巻はしばらく読み返せそうにないなぁ。
塔に幽閉されていた前王(幼帝)のエドワード五世と弟は、王冠を狙うリッチモンドがリチャードが暗殺したように見せかけて毒殺。エリザベスの息子たちは悪役キャラでしたが、大人に利用されただけの人生だったんだなぁと。まだあどけなさの残る少年たちの最期は権力争いの残酷さ・非情さを浮き彫りにし、憐憫を誘います。
反乱を起こしたバッキンガムの悲しくも美しい最期。このシーンはシリーズ一番の見せ場といっても過言ではないほどドラマチックな演出になっています。単なる反乱や愛の暴走ではなく、命をかけたバッキンガムのリチャードへの献身愛を感じることができました。
そして、追い打ちをかけるように王妃も...。結核を患っていたアンの早すぎる死。アンの最期の願いで二人の息子・エドワードは血まみれの権力争いに巻き込まれないように廃摘され、養子に出されることに。城を去っていくときのエドワードの悲しそうな顔にギュッと胸が締め付けられましたが、両親の願い通り、なんとか生き延びて幸せになってほしいと切に願います。
一人また一人と、リチャードの大切な人が亡くなり、そばにいるのはケイツビーだけに。そんな中、ティレルと運命的な再会を果たすリチャード。
リチャードの初恋相手・ヘンリー六世(ティレル)がバッキンガムの台頭とともにメンヘラ男に成り下がってしまったように見えるのが常々残念だなと思っていましたが、最後の最後にそんなティレルの見せ場が用意されていたとは、さすがエンターテイナーな菅野さん。
周りは敵だらけのリチャード。不気味な存在だった魔女ジェーンがリチャードの味方になってくれたのがせめてもの救い。

