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[内容紹介]
女性向け月刊漫画雑誌『デザート』(講談社)にて、平成11年1月号、5月号、7月号、9月号に掲載された作品。単行本全1巻。
[あらすじ〕
処女ってだけでフラれるなんて──! 花岡緑(はなおか・みどり)の好きな三井(みつい)さんは処女嫌い。振りむいてもらうため幼なじみの忍(しのぶ)と「とりあえず」Hするが!? 体が先か気持ちが先か、ゆらめく心を描く「苺シロップ」。そして、モテるけれど男運のない緑の親友・ヨーコちゃんの本当の愛は? 「あめ玉コレクター」。身体の欲求と心の欲求、バランスのとれないお年頃のビミョーな気持ちを描ききった「アイスクリーム マドンナ」他、計4話を含む、甘い甘い短編集!
[感想]
甘い甘い短編集?いや・・・むしろ、味覚で表現するならば、どれもほろ苦いと形容した方がいいのでは・・・。
表題作の『苺シロップ』は、好きな人から処女はめんどくさいと言われ、撃沈したヒロインが、遊び慣れた幼なじみとHして処女喪失し、もう一度好きな人に告白して、やっとこさ彼女にしてもらうお話。なんていうか、ヒロインも、好きなった男性も、幼なじみも、お軽いなぁ。即物的で、ついていけなかったです。
個人的に、恋愛において、相手のいいなりになって自分を犠牲にしたり、自分の意志をしっかりもっていない女性に好感を抱けないものだから、ヒロインの気持ちがちっとも理解できない。自分勝手な男のHは痛くて、辛いだけ。それでも、我慢し続けた結果が、実は処女を好きになったと言われ、玉砕。その直後、緑は寂しいからと、慰めてくれた幼なじみのもとへ。正直、どのキャラにも共感できず、読んでいてムカムカしました。
2作目の『あま玉コレクター』は、表題作のスピンオフ。これも、ほろ苦系。『苺シロップ』のヒロイン・緑の友人ヨーコが、緑の彼氏に昇格した幼なじみの忍と合コンで知り合い、その日のうちにH。しかし、忍が緑の彼氏だと知ったヨーコはショックを受け、さらに緑も、忍が友人と浮気していた事実を知り、くやし涙を流す。忍にとって、緑が本命だと知ったヨーコは、合コンで知り合った別の男のもとへ去り、すぐさまHして、新たな恋を自覚する。
なんていうか、どの作品も、深みがないんですよね。浮気や不純な恋を扱うのならば、男女の相手を想う苦しいくらい真剣な気持ちがひしひしと伝わってくるように描いてくれないと、単なる軽薄さだけが目立つ駄作に終わらざるを得ないと思う。ヒロインがこんなにも、右から左に流されているようでは・・・正直、共感致しかねますわ。