※当ブログはアフィリエイト広告を利用しています。

このブログを検索

2016年2月28日日曜日

鈴木ジュリエッタ『神様はじめました』第1巻~23巻

作品名: 神様はじめました
漫画家: 鈴木ジュリエッタ
出版: 既刊23巻(2008年~)
ジャンル: ファンタジー 妖(あやかし) 恋愛
トーン: コミカル せつない
試読: 神様はじめました

[作品紹介]
『花とゆめ』(白泉社)にて2008年6号から連載中。テレビアニメ化され、第一期が2012年10月~12月、第2期が2015年1月~3月まで放送された。2015年に舞台化もされている。

[あらすじ]
父親が家出し、住む家もなくした女子高生・桃園奈々生の前に現れた怪しい男。「奈々生に家を譲ろう」という男の言葉を信じて彼の家を訪ねると、そこは廃神社! 怪しい男の正体は、土地神・ミカゲだった!! 奈々生は神社を譲られるかわりに、神様の仕事を任されてしまって!?

[感想]
人気の長編シリーズといえば、はじまりはそうでもないが、どんどん面白くなるパターンと、徐々にトーンダウンしていくパターンと、ずっと面白さを維持しているパターンとあるが、このシリーズは最初のパターンだと思う。

冒頭は、父子家庭のヒロインのお父さんが蒸発し、強制執行で立ち退きにあい、どこにもいくあてのなくなったホームレス女子高生という途方もなく絶望的な状況から、土地神様になるまでの紆余曲折が、ブラックコメディのように、独特のハイテンションで展開されていくので、最初はちょっと引いてみている部分があったが、主要キャラが出そろったあたりから、一気に物語が本格化し、萌えと笑いとせつなさを散りばめながら、リズムよく展開されていくので、徐々にその世界観に魅せられていく。

このシリーズには、色んな神様や神使やら妖やらが出てくるが、それぞれのキャラの描き分けが、きちんとできているので散漫な感じがしないし、周囲の脇役エピソードを通して、ヒロインの成長や神使・巴衛との絆が深まっていく様子が描かれていくので、巻を追うごとに物語としての深まりを感じさせる。

メインキャラについても、読者を読み飽かせない工夫がみられる。たとえば、謎多き巴衛の過去が徐々に明らかになっていくことで、キャラの深みや魅力が増していくストーリー運びになっていること。第14巻~17巻において、巴衛を救うために奈々生が過去へタイムスリップする過去編は、シリーズの中でも、ドラマチックな盛り上がりが最高潮に達するエピソードであり、ヒロインが陰から巴衛を救おうと健気に奮闘するところや、巴衛が唯一心にかけていた人間の女性・雪路との長いスパンを見越した絡め方、ヒロインのゆるぎない深い愛が、巴衛に至り届いていく様子は切なさ満点。二人の深い絆をこんな風に見せつけられたら、応援しないわけにはいかない。

そして、17巻途中からは、物語は現代に戻り、二人が幸せをつかむために避けては通れない道として、最大の敵との最終バトルが待っている。大団円まであと少し。これからラストに向けて、二人がどんな戦いを見せてくれるのか、もうひと盛り上がりあることを期待したい。

ブログ