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[作品紹介]
『ベツコミ』2015年8月号~12月号連載作品。現在連載中。
[あらすじ]
人の心の中にある穢(けが)れを払う“ココロの掃除屋”を家業としている堀北(ほりきた)家。その能力を見込まれ、堀北家に住み込みで家業のお手伝いをすることになった文(ふみ)だけど、人々に絶大な力を及ぼす『女王(クイーン)』の力が覚醒し始めていることが発覚して…!?一方、コミュ力底辺ながらも“掃除屋”の腕はある玖太郎(きゅうたろう)。文の力を止められるかもしれない特別な存在の彼に、「絶対に離れない」と宣言されて不覚にもトキメいてしまった文だけど!?
[感想]
こちら新シリーズではなく、続編なので、前作から読み進めることをおすすめ→QQスイーパー(前作)
~ネタバレ~
前作の後半で、ふみちゃんが玖太郎の初恋の女の子だと判明し、そうとは知らずに再会したふみちゃんに再び好意を抱いた玖太郎は、彼女への想いがいっそう加速し、甘さが増す展開になっている。玖太郎の不器用なやさしさ、時折見せるトロけるような甘い笑顔や、いざというとき全力で彼女を守る騎士っぷりに惚れ惚れ。さらには、それを引き立てるヒロイン側の魅力。誰に対しても誠実で、地道な努力を惜しまない凛とした大和撫子のようなヒロインの愛らしさも相まってキュン度アップ。
ヒロインの謎(潜在能力)にせまるクイーンのお話が本格化したことで、せつなさも増してきた。ふみちゃんを守るために片時も離れないと宣言した玖太郎だが、黒い女王を呼び起こさないために玖太郎が守るべき条件が、彼女の消されている幼少期の記憶を思い出させないこと。幼少期にふみちゃんとの忘れがたい出会いを経験した玖太郎は、記憶を失くしているふみちゃんを刺激しないように彼女への想いを封じるように言われる。今にも溢れそうになる気持ちを抑えこんで、ふみちゃんに対してナイトとして優しく接している玖太郎が切ない。しかし、そんな努力もむなしく、敵のおぞましい挑発により、ふみちゃんの中に眠っていた黒い女王は目覚めてしまい・・・。
普段おっとりした心優しいふみちゃんが黒い女王に覚醒するシーンはド迫力で肝が冷える・・・。言葉一つで簡単に人間をコントロールできる”黒い女王”に変貌し、毒々しい言葉を次々に口にする恐ろしい魔女姿にひるむことなく、いつものふみちゃんに接するように優しく身体を抱き寄せ、プラスのパワーを送りつづけて、元のふみちゃんに戻そうとする玖太郎が健気でかっこよかった。こういう見せ場は、普通ヒロインの専売特許な感じがしたので、暴走したヒロインをヒーローの優しさで止めるという逆転の発想が面白い。このシリーズ、ヒーロー側の気持ちがダダ漏れなので、余計にせつなく感じる。早く二人が幸せになるところが見たいなぁ。