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2015年9月6日日曜日

池田理代子『ベルサイユのばら』 第11巻

作品名: ベルサイユのばら 11 (マーガレットコミックス)
漫画家: 池田理代子
出版: 集英社 (2014/8/25)
ジャンル: 歴史
トーン: シリアス
試し読み: ベルサイユのばら 11 (マーガレットコミックス)

[初出]
雑誌『マーガレット』2013年13号、22号、2014年3・5合併号、12号に掲載。

[あらすじ]
少女漫画の歴史的名作『ベルサイユのばら』が連載終了から40年余の時を経て、ついに蘇る! アンドレ、ジェローデル、フェルゼン、アラン…オスカルを巡る人々のその後や、知られざる過去を描いた新作エピソード4編を収録。美麗カラー24P付きの豪華仕様!

[感想]
40年ぶりの続巻。前半2話は生前のオスカルやアンドレをめぐる人々のエピソード(過去編)、後半2話は処刑されたアントワネット王妃に愛をささげたフェルゼンのその後、そして、バスティーユで銃弾に倒れたオスカルの最期を看取ったアランやロザリーを中心に混乱の世を生きる人々の様子(後日談)が描かれています。

エピソード1
アンドレとクリスティーヌ
ジャルジェ家にオスカルの遊び相手兼お守り役としてやってくる前の8歳のアンドレが故郷の村で幼馴染みのクリスティーヌと交わした無邪気な、淡い約束。アンドレを想い続け、再会を夢見る少女。

クリスティーヌは幼いころに両親を相次いで亡くし、苦労の末に貴族の養女になって、社交界デビューし、オスカルに付き従うアンドレとパレ・ロワイヤルで再会する。待ち望んだ再会だったのに、アンドレが自分のことをまったく覚えていないことに落胆する。

彼女の境遇があまりに不憫。狡猾なオルレアン公のもとでますます不幸になっていく、救いのない終わり方。幼馴染みであるアンドレへの純粋な思慕が彼女に危険な賭けをさせ、そこへ魔の手がのびて人生を狂わされていく様子がなんとも悲しい。

エピソード2
オスカルとジェローデル
オスカルの元部下であり、結婚相手候補でもあった上流貴族のジェローデル。その生い立ちと、オスカルとの最初の出会いが描かれる。オスカルへのライバル心を露わにしながらも、このころからオスカルをレディとして接していた様子。引き際の美しさが印象的な人。


エピソード3
アントワネット王妃とフェルゼン
何度引き裂かれようとも、最後までアントワネットに愛をささげたフェルゼン。故国スウェーデンでオーストリア大使に任命され、失意のままアントワネットの故郷・ウィーンに赴任した彼が出会ったのは・・・。愛する王妃を助けられなかったことを悔やみ、涙するフェルゼンはジャルジェ将軍に会い、王妃の従容とした最期の様子を聞き、預かっていた指輪を渡される。毅然とした王妃の最期を知っても、彼にとっては、苦しみしか沸いてこないだろう。

ジャルジェ将軍の妻は、オスカルが銃弾に倒れて以来、娘を失った悲しみが深すぎて、娘のあとを追うように亡くなったしまったという。国の未来をめぐって、一人娘のオスカルと相反する立場になってしまったジャルジェ将軍だが、妻子を失った父親の悲しみは計り知れない。保身のために国外逃亡を図る貴族が多い中、最後までフランスに残って王政側に尽くす。その後、ロシアに亡命している王弟のもとへ向かうジャルジェ将軍。

エピソード4
アランのその後
バスティーユで重傷を負った元衛兵隊のアランが、ロザリーとベルナールの看病で目覚めるところからはじまる。混乱続く街へと戻ったアランは、オスカルが大切に思っていた人々との再会を果たす。そして、妹の死をどう乗り越えるか、突きつけられる出来事が・・・。

やはり、3、4の後日談が圧倒的に胸を揺さぶりますね。フェルゼンがウィーンで王妃の若いころにそっくりなマリー・テレーズを見かけて瞠目するシーン。そして、バスティーユで重傷を負いつつも生き残ったアランの視点から、革命派、王政側双方のその後が描かれているエピソードが、特に興味深かったです。

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