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2016年3月19日土曜日

秋乃茉莉『千尋に咲く花』全2巻

作品名: 千尋に咲く花
漫画家: 秋乃茉莉
出版: 全2巻 (2008/6・2009/6) 
ジャンル: ファンタジー 歴史モノ
トーン: シリアス せつない ほのぼの
試し読み: 千尋に咲く花

[作品紹介]
『夢幻アンソロジー』Vol.5~12掲載作品。単行本全2巻。

[あらすじ]
浪の下にも都のさぶらふぞ――三種の神器を求めて源平両家の争う時代。天皇の証である三種の 神器のひとつ、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を抱きながら、浪の下に沈んだ幼い時の天皇、言仁(ときひと)。源平両家が狙う因縁深き剣が幼き帝を導いたのは、龍神、綿津海(わだつみ)の住まうの城だった! 大海原の底、龍神の綿津海とその妹、撫子(なでしこ)との出会いが幼き帝の運命を変える!

[感想]
竜宮伝説と平家物語をモチーフにした歴史ファンタジー。源平最後の合戦、壇ノ浦で宝剣と神璽を帯し、二位尼らとともに入水した悲劇の幼帝、安徳天皇がこの物語の主人公。宝剣の力に導かれて、竜宮城に流れ着いた幼帝を龍神の幼い妹が救うところから物語は始まる。 遊び友達ができたと、はしゃぎまわる妹君・撫子のわんぱくぶりが可愛い。 

撫子とその兄の龍神様との交流を中心に描きながらも、一話完結な形で、ただならぬ事情で大海原の底に流れ着いた、迷える人間たちのお話が毎度挿入されている。威風堂々とした怖い龍神様が人間の愚かさに眉を顰めながも、苦悩する人々を叱咤し、どうにもならない場合は救いの手を差し伸べる情の深さが描かれているところが素晴らしい。ラストで撫子の正体が分かったときにはびっくり。この物語は、海の底の竜宮が舞台とはいえ、迷える人間のお話が中心だったので、もう少し龍神の世界のことも、知りたかった。龍神様が主人公の続編があればぜひ読みたい。

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