作品名 : | BLIND GAME―ニューエイジ八犬伝 |
漫画家 : | 碧也ぴんく |
出版 : | 単行本全10巻 角川書店 (1996/4~2001/4) 文庫本全5巻 ホーム社 (2006/11~2007/2) |
ジャンル: | ファンタジー SF サスペンス |
トーン : | シリアス せつない |
[作品紹介]
本編は『月刊ミステリーDX』(角川書店)1995年10月号~2001年2月号掲載、番外編「Another STAGE」は「幻想ファンタジー 翡翠抄」2006年10月号掲載。
[あらすじ]
「八犬士」の持つ珠のかわりに「神女」の遺伝子を、牡丹の痣のかわりに「超」能力を持つ、八人の少年たちが自分たちの生まれてきた理由と意味を追いかける遺伝子サスペンス!2031年・春。高校1年の孝は、幼い頃からくりかえし見てしまうある「夢」が気になっていた。友達の義人は「お前には妙な力もあるし、その夢も予知能力とかじゃないのか」と言う。たしかに孝は、誰かの頭に触れるとその人の脳内物質を出させるという、不思議な力の持ち主だった…
[感想]
八犬伝の設定と遺伝子操作ネタを組み合わせた近未来SF。先に出版された同作家の『八犬伝』の後書きのオマケ漫画として描かれた現代版八犬伝がもとになって生まれた作品。遺伝子操作で誕生した8人の超能力少年たちが負の副産物として生み出されてしまったモンスターと戦うサバイバルSFファンタジー。
この作品が描かれたのが90年代というデジタル過渡期ゆえの弊害なのかもしれないが、物語の舞台が40年近く先の2030年代という設定なのに、依然として90年代の旧型デスクトップや携帯電話がそのまま描かれているのには違和感がある。今の人間が読むと、未来の日本はテクノロジーが後退してしまっているのかという、SFなのにどうにも残念な感じが・・・。その点でいえば、80年代のSFの場合では、車が空を飛んでいたり、有能なヒューマノイドがいたり、もう少し作者なりに未来のビジョンに夢を描いていたと思う。
逆にこの世界では医学は急速に進んだようだが、遺伝子を操作しただけで、あのような神がかり的な特殊能力を持つ人間が生み出されるという設定はちょっと飛躍しすぎているような。
SFとしては詰めが甘く、中途半端な感じがしたが、八犬伝の要素は面白かったし、人間の尊厳を問うサスペンスタッチのヒューマンドラマとしては読みごたえがあった。
文庫版1-5巻セット
単行本全10巻セット
1巻
10巻