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2022年7月31日日曜日

斎藤岬『ひなたの狼-新選組綺談』全5巻あらすじ&ネタバレ感想


作品名 : ひなたの狼-新選組綺談
漫画家 : 斎藤岬
出版  : 全5巻
幻冬舎(2004/9~2006/9)
ジャンル: 歴史モノ 新選組
トーン : シリアス
試し読み: ひなたの狼―新選組綺談―

[あらすじ]
その男は、女性と見まごうばかりの美貌の影に、大いなる野望を抱いていた。男の名は土方歳三―。「誠」の旗のもとに集う新選組志士を描く、待望のコミックス第1巻。

[感想]
全29話+描き下ろしショート(番外編)3話+キャララフ&プロフィール+イラスト収録。

浪士組が京都入りするところからスタートし、京都に到着早々尊皇活動のために江戸へ帰還する決定を下した浪士取締役・清河に反対した芹沢・近藤らが京都守護職を務めていた会津藩預かりとなってそのまま京都に残り、「壬生浪士組」を名乗る「新選組」の前身時代にフォーカスした内容になっています。

登場人物は近藤(試衛館)一派と芹沢一派が中心。 

 浪士組が分裂→「壬生浪士組」誕生→八月十八日の政変後に「新選組」の名を拝命→芹沢鴨暗殺事件 

新選組や当時の歴史の大まかな流れを知ることができる作品。賛否両論ある新選組を過度に美化したり、貶めたりすることなく、史実・伝承をもとに新選組の前身組織の内情を中心に描いたお話になっています。 

 子供の頃から新選組の大ファンという作者ですが、変に気負い過ぎることなく、なるべくフラットな視点を心がけて描いているのが伝わってきました。 歴史漫画として一読の価値がある作品ですが、ドラマチックさやカッコよさは二の次の作風なので、新選組に思い入れがある人にはおすすめしません。内容もドロドロした血なまぐさい内紛ばかりなので読み手を選ぶかも。 

 ヴィジュアルは写真が残っている人物以外はかなり自由に描いている印象。近藤勇は写真ベース、ちらっと出てきた坂本龍馬もよく知られた写真にそっくり。 

 登場人物が多いこともあって、美少年タイプのキャラたちが似通っていたのが少し惜しいところ。藤堂平助と桂小五郎、久坂玄瑞と佐々木愛次郎の見分けがつきにくかったです。

全5巻で第1部完結。あとがきによれば、続きを構想中とのこと。既に15年経過していますが、ぜひ実現していただきたいです。 

 💬主な登場人物: 
・土方歳三 
主人公。浪士組三番隊所属。新選組の副長。武蔵国出身。試衛館門下生。華奢な美少年風。ツンデレ→鬼の副長 

 ・近藤勇 
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。新選組局長。武蔵国出身。試衛館道場主。無骨者。写真に寄せたキャラデザ。局長にしては存在感がやや薄い。 

 ・沖田総司
 レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。のち新選組一番隊組長。陸奥国出身。試衛館塾頭。長身ヒラメ顔イケメン。飄々とした明るいキャラ。 

 ・永倉新八 
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。のち二番隊組長及び撃剣師範。試衛館食客。リーゼント風。仲間内のツッコミ役。 

 ・原田左之助 
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。伊予国出身。チャラ男。沖田と永倉とトリオ。

 ・藤堂平助 
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。玄武館門弟→試衛館入門。わんぱく。 

 ・山南敬助 
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。試衛館門下生。温厚で誠実な人柄。 

 ・芹沢鴨 
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。神道無念流剣術の剣士。粗野な荒くれ者だが、暗殺までの流れにドラマ(見せ場)あり。 

 ・斎藤一 
2巻途中から登場する準レギュラーの脇役。のち新選組副長助勤。撃剣師範。この作品では試衛館に一時居候していた説をとる。超美形だが寡黙で風変り(スラムダンクの流川楓を彷彿とさせる人物)。

 ・新見錦 
準レギュラーの脇役。浪士組三番隊2所属。芹沢と行動を共にするが、芹沢だけでなく新選組にも愛想を尽かして(?)脱走を図るも見つかり切腹。 

 ・清河八郎 
浪士取締役。芹沢・近藤らと袂を分かって暗殺される。

 ・佐々木愛次郎 
2巻終わりから登場。新選組美男五人衆の1人。恋人のあぐりと駆け落ちしようとして佐伯又三郎によって罠に嵌められ暗殺される。あぐりは強姦され自害。 

 ・楠小十郎 
2巻終わりから登場。新選組美男五人衆の1人。桂小五郎が送り込んだスパイ。

 ・佐伯又三郎 
新選組の副長助勤。悪人。佐々木愛次郎を殺害し、あぐりを強姦。

 その他 
・浪士取締役
鵜殿鳩翁・山岡鉄太など 

・佐々木只三郎
近藤・芹沢ら浪士組を京都守護職・会津松平家の支配下に置くように取り計らった人物。

・長州藩における尊王攘夷派
桂小五郎、高杉、久坂 玄瑞

・坂本龍馬
数ページだけ登場。



ひなたの狼―新選組綺談―



2022年7月28日木曜日

宮城とおこ『花も嵐も』あらすじ&ネタバレ感想


作品名 : 花も嵐も
漫画家 : 宮城とおこ
出版  : KADOKAWA (2014/1/27)
ジャンル: ファンタジー 超能力 架空の日本
トーン : シリアス
関連作 : 月の沈むまで(全2巻)
試し読み: 花も嵐も

[あらすじ]
貧乏国家の姫君ルナリアと、他人を信じない大魔導士ラグラスの国家再建(?)物語。ブローディア王国のルナリア姫は、10日後に戴冠式を控え困っていた。王国は大赤字国家で、国の象徴である王冠もボロボロで修復するお金もなかったからだ。その時、すべてを美しく変える力を持つ魔導士ラグラスの噂を聞く。イヤイヤ頭を下げるルナリアにラグラスは告げる。「魔法を使ってほしいなら金を持ってきやがれ」困り果てたルナリアは最後の手段に――。貧乏王女と魔導士が極貧生活からの脱出を目指して国造り!?

[感想]
表題作全5話。『月の沈むまで』のスピンオフとのこと。

現代のハイテク社会と中世の日本とヨーロッパ文化を取り入れた架空の日本が舞台のお話で、既に出来上がっている人間関係の中での復讐劇+駆け落ち。

 スピンオフならそうと分かるように発売してほしかったです。舞台設定・登場人物の紹介が全くないまま進むので、スピンオフ未読だと完全に置いて行かれますw 

前作の紹介文によると、日本国内に貴族のみで構成されている都市国家・幻京で権力争いに巻き込まれ、全権を握る男・帝の側近の座を奪われた久坊公爵の嫡男・伊織(実は男性のふりをしている令嬢)が父の遺言により、父の座を奪った叔父・剛嗣から公爵の座を奪い返すため奮闘するお話だそうです。 

 スピンオフは同じ舞台設定の中で人の感情が読める伯爵令嬢の由良が、行方不明の姉を探すために女官勤めをする中で義賊活動をしている高嶺伯爵の子息・流と出会い、関わりを深めていくうちに前作の話とリンクしていく流れになっています。

 前作で離れ離れになった伊織と志郎は由良のおかげで再会一歩手前までこぎ着けますが、再会できたのかは描かれていません。そして、由良の行方不明の姉の件は絶句。あまりにむごすぎて…。

5話=最終話となっていましたが、伊織を逃がすために後宮に放火するという大罪を犯した由良が、高嶺伯爵家の流とともに都落ちするところまでしか描かれておらず、なんともスッキリしない終わり方でした。

2022年7月23日土曜日

高橋ユキ『金欠姫君と偏屈魔導士の権謀術数錬金術』第1巻ネタバレ感想


作品名 : 金欠姫君と偏屈魔導士の権謀術数錬金術
漫画家 : 高橋ユキ
出版  : 秋水社ORIGINAL (2022/2/25)
ジャンル: ファンタジー 王国 魔法
トーン : シリアス
試し読み: 金欠姫君と偏屈魔導士の権謀術数錬金術

[あらすじ]
貧乏国家の姫君ルナリアと、他人を信じない大魔導士ラグラスの国家再建(?)物語。ブローディア王国のルナリア姫は、10日後に戴冠式を控え困っていた。王国は大赤字国家で、国の象徴である王冠もボロボロで修復するお金もなかったからだ。その時、すべてを美しく変える力を持つ魔導士ラグラスの噂を聞く。イヤイヤ頭を下げるルナリアにラグラスは告げる。「魔法を使ってほしいなら金を持ってきやがれ」困り果てたルナリアは最後の手段に――。貧乏王女と魔導士が極貧生活からの脱出を目指して国造り!?

[感想]
第1~3話+イラスト入りあとがき2P収録。

タイトルと表紙のイメージから本格的なファンタジーを期待していたら、おバカ全開だったので肩透かし感が…。

1年前に父王がなくなり、喪に服している一人娘のルナリア姫。戴冠式を間近に控えるが、国の内情はボロボロ。

財政難で国が倒れ掛かっているのに、世間知らずなお姫様にすべてを一任して暇乞いする臣下たち。給料を払えなくなったせいで宰相も財務長官もいなくなり、ただ一人残ったのは侍従長だけ。

食事も侍従長が用意しているところから、使用人も全員いなくなったのかな...。

うーん、辺境の領主ならともかく、まもなく王となるヒロインの周りからどんどん人が消えて孤立無援状態と言うのはあまりに不自然な気がします。対立する勢力がいるわけでもないのに...。

途方に暮れ、仕方なく頼ったのが、森に住む怪しげな魔法使い。噂通りの悪人かと思いきや、単にぶっきらぼうなだけ。人々から誤解され、恐れられてきた孤独な魔法使い・ラグラス。侍従長から事情を聞いたラグラスは、二人のことを放っておけなくなり、魔法を使って助けることに。

1巻時点では恋愛要素はありませんが、あとがきによれば、この二人のラブストーリーになっていくようです。世間知らずな性悪王女と超絶美形なツンデレ魔導士という構図。

ラグラスのキャラは魅力的でしたが、いかんせんヒロインが...。ツンデレを通り越して、手の施しようがないほどのポンコツ傲慢ヒロインw 応援し甲斐がないのが残念。


金欠姫君と偏屈魔導士の権謀術数錬金術


2022年7月21日木曜日

大政喜美子『コンシェルジュ江口鉄平の事件簿』 超合本版第1巻ネタバレ感想


作品名 : コンシェルジュ江口鉄平の事件簿 超合本版
漫画家 : 大政喜美子
出版  : 現在6巻
1巻:青泉社 (2020/12/1)
ジャンル: サスペンス
トーン : シリアス
試し読み: コンシェルジュ江口鉄平の事件簿 超合本版

[あらすじ]
事件を呼ぶホテルマン・江口鉄平と職場の仲間達がどんな小さなトラブルも親切丁寧に対応・解決してくれる、ヒューマンミステリー!!

[感想]
単行本1~3巻(第1話~16話)収録。 

コンシェルジュが宿泊客のトラブルや事件を解決する1話完結のサスペンス・オカルト・お仕事漫画。

表紙の余裕ありげな表情から、てっきり経験豊富なコンシェルジュのお話なのかと思ったら、まだ2年目の新米コンシェルジュが主人公でした。経験不足をフットワークの軽さと度胸でカバーする熱血漢。

サスペンスや人間ドラマとして面白いエピソードもありましたが、唐突にオカルト要素(この世に未練がある幽霊等)が入り込んで困惑したり、コンシェルジュとしての仕事の域を超えた越権行為にモヤモヤしたり、共感できない部分も少なからずあったので、だんだん違和感の方が大きくなっていき、ストーリーに集中できなくなりました。 

 殺人未遂事件が発生したのに、宿泊客が穏便に済ませたいと言ったら、犯罪行為に目を瞑る支配人やスタッフたち...。そんなホテル、怖くて泊まりたくないなぁと。

 恋愛要素は2巻までなく、3巻に少しだけありました。主人公に腐れ縁の恋人がいたことが15話で判明。国内外を飛び回る破天荒なスポーツ記者。うーん、このエピソード必要だったのかな?お人好しな主人公のことをキープして自分勝手に生きているだけの女性にしか見えなかったのが残念。


コンシェルジュ江口鉄平の事件簿 超合本版


2022年7月15日金曜日

里中満智子『女帝の手記』全5巻あらすじ&ネタバレ感想


作品名 : 女帝の手記
漫画家 : 里中満智子
出版  : 全5巻
中央公論新社 1998/2
里中プロダクション 2014/1/23
講談社 2015/3
ジャンル: 歴史モノ 古代
トーン : シリアス
関連作   : 長屋王残照記
天上の虹
試し読み: 女帝の手記

[あらすじ]
奈良時代、阿倍内親王は父親に聖武天皇、母親に光明皇后をもつ皇女であった。歴史的に史上唯一、立太子し、女性皇太子となった阿倍は、のちに孝謙天皇、重祚して称徳天皇になった女帝である。波乱の時代、彼女が独身を貫きながら、二度も天皇になってまでも守りたかったものは天皇としての威厳だけだったのか――。この物語は、その彼女が九歳の時からつづる手記のかたちをとった作品です。

[感想]
二度皇位に就いた孝謙・称徳天皇(聖武天皇・光明皇后の娘・阿倍内親王)の幼少期から崩御するまでの一代記。

長屋王の変が起きる直前からスタート。前作『長屋王残照記』から続く形で聖武天皇や藤原家から見た政変の顛末とその後が描かれています。

長屋王残照記』で描かれた元明天皇(阿閇皇太妃)とその娘の元正天皇(氷高皇女)が天皇となる覚悟と使命感が備わった才気あふれる凛とした女性だったのに比べると、阿倍内親王は病弱で気弱だった聖武天皇の気質を受け継いだ危うい女性天皇として描かれています。

父の聖武天皇同様、本人は天皇になるつもりがなかったのに身内である藤原家を中心とする新興勢力によって担ぎ上げられ、政治の表舞台に立たされたことで元からの危うい精神状態がさらに不安定になり、迷走してしまったのかなと。 

 聖武天皇がひたすら仏教に救いを求めたのに対して、娘の孝謙・称徳天皇は男に依存して政治家として暴走してしまった女性天皇として描かれています。

孝謙天皇のときは藤原仲麻呂に、上皇から天皇に返り咲いた称徳天皇のときは道鏡に。とはいっても、この二人と男女の仲にあったとする説は何ら根拠があるわけではなく、そうだったかもという憶測にすぎないようです。 

 光明皇太后と孝謙天皇に寵愛され、絶大な権力を手に入れる仲麻呂。この頃、政治権力は二重構造に。従来からの太政官制度があり、その頂点に立つのは右大臣・藤原豊成。片や仲麻呂と光明皇太后が作った紫微中台の長官(紫微令)に仲麻呂が就任。

仲麻呂は太政官制度内でも大納言の地位につき、さらに孝謙天皇のもとで新しく設定された紫微内相の地位も手に入れ、治安維持軍と国防軍の統率者の地位も手に入れます。 

 そんな中、長屋王の側室・藤原長娥子の3人の息子が仲麻呂に反発して決起するも、事前に謀反が発覚して有力氏族がことごとく流罪や死罪(拷問死)に→橘奈良麻呂の乱。皮肉にも仲麻呂の独裁体制をますます強める結果になってしまったのですね。

 寵愛した男に絶大な権力を持たせた後、彼の浅ましい人間性に気づく孝謙天皇→仲麻呂との対立が激化し、藤原仲麻呂(恵美押勝)の乱に発展。この頃出家した模様。仲麻呂を討ち、皇位に返り咲くと今度は病に伏せたときに看病してくれた道鏡を寵愛して法王にし、一族(弓削家)も大出世。その後、まもなくして称徳天皇が病死。道鏡は地方の寺院に左遷。

 短い間だったとはいえ、絶大な権力を手に入れた道鏡を悪僧としてではなく、称徳天皇を一途に支えた野心がない純粋な人として描いているのが印象的でした。勝者の歴史とは一線を画した見方ですね。

野望に燃える仲麻呂との愛はニセモノだったけど、信仰に裏打ちされた道鏡との愛は本物だったと、その対比を強調したかったのかもしれません。



女帝の手記 5



2022年7月13日水曜日

河内遙『ムサシノ輪舞曲(ロンド)』第1巻あらすじ&ネタバレ感想

作品名 : ムサシノ輪舞曲(ロンド)
漫画家 : 河内遙
出版  : 祥伝社 (2021/9/8)
ジャンル: 恋愛群像劇
トーン : ほのぼの せつない
試し読み: ムサシノ輪舞曲

[あらすじ]
蕎麦屋の息子・阿川龍平(25)は、“お隣のお姉さん”である武蔵原環(35)に、小さな頃から片想いしている。十代半ばで告白もしたけれど「家族同然の弟あつかい」な上に「10歳差」のせいで意識してもらえず、この10年はもはや諦めモード…。そこへ突然、とぼけた色気の食えないテーラー・衣笠が環の前に現れ、まんまと恋を始められかけてしまい…!?執着片思い青年×惚れっぽい自然体女×食えない男がおくる、大人のじれじれ三角関係!

[感想]

第1~5話+イラスト入りあとがき2P収録。

デビュー20年目となる連載作だそうです。

27歳の時に両親が事故死し、実家でモダンバレエ教室の先生をしている35歳の環の日常と彼女をめぐる人々のお話。

隣に住む10歳年下の幼馴染みで環に長年片想いしている阿川くん視点でスタートしたので、てっきり環と阿川くんがダブル主人公なのかと思ったら、3話は環の友人のマリナ視点、4話は弟・文太視点、同僚の衣笠視点と次々に視点が変わる恋愛群像劇スタイルでした。

主要登場人物と関係性は以下の通り:

・環
美人姉弟の姉。35歳のバレエ講師。天然で惚れっぽい。家族や友人に対してはサバサバだけど、恋愛対象となる年上男性の前ではたちまち乙女に。


・阿川龍平
25歳の寡黙な長身イケメン。隣の蕎麦屋の息子。環の教室の元教え子で環に長年片想い中。環に二度告白して振られているため、あきらめようとしているものの、いまだ断ち切れないでいる。


・文太
環の弟。34歳。罪作りな美形。2年前、環と付き合っていたイギリス人が文太に(一方的に)メロメロになって言い寄ってきたせいで環とイギリス人が別れることになり、環から恨まれている。別れた彼女のことが今でも好き。


・衣笠
文太の同僚のテーラー。黒髪メガネ。文太の女性版がいたら絶対好きになると思っていたところに環と出会い・・・。


・毬奈(マリナ)
環の友人。文太に長年片想いしているシングルママ。


・小夜子
文太の元カノ。魔性の女(ビッチ)。風俗店でバイトをしていた元大学院生で首を絞められると興奮するニッチな性癖を持つ。


物語は2年前から絶交している弟・文太が彼女にフラれて住む家をなくして環が一人で住んでいる実家に戻ってきたところからスタート。弟の帰郷と同時に絶交状態は解消されたものの、二人とも毒舌なので会えば言い合いばかり。

とはいえ、深刻なレベルで仲が悪いわけではなさそう。”絶交”というのも、たぶんこの姉弟独特の言い回しかなと。

ある日、文太が同僚の衣笠を自宅に呼んだところ、惚れっぽい環が衣笠にたちまち一目惚れ。

環への恋心から隣家通いを辞められない阿川くんの目の前で、新たな恋の予感にウキウキする環。

脇ではマリナが文太への長年の片想いを燻らせていて・・・という展開。

硬派でかっこいい阿川くんが恋愛対象外ってどういうこと!?と思っていたら、阿川くんが環に告白したのは未成年のときだったんですね。

子供のときに最初の告白、17歳のときに2度目の告白、そして25歳になった今。

今までは年の差が大きなネックになっていたけど、今後は年下であることはそんなに問題にならないのではないかな。環が年上男性が好きなことをすごく気にしているところは可愛いけど。環の反応を見ると、ちょっとだけ前進したかも?

ただ、三角関係なんですよね~。衣笠さんもユニークで魅力的な人物なので、環がフラフラして三角関係が長引いてしまう可能性もありそう。

文太とマリナのことも気になります。

2022年7月11日月曜日

ひるのつき子『煌めく星の吸血島』あらすじ&ネタバレ感想

作品名 : 煌めく星の吸血島
漫画家 : ひるのつき子
出版  : 祥伝社 (2022/4/8)
ジャンル: ファンタジー
トーン : ほのぼの
試し読み: 煌めく星の吸血島

[あらすじ]
ここはヴァンパイアが人間と共存する「煌星島」。 この島に初めてやってきた明日美はヴァンパイアについて不案内な奉公人。 彼女の幼き主人ルイをはじめとしたヴァンパイアの血を持つ者の心を明日美が持ち前の明るさで照らしていく。 心が優しくなるファンタジー。

[感想]
まだあどけない少年である孤独な主人と新米メイドが少しずつ心を通わせていく過程を人情味溢れる筆致で綴ったほんわか主従モノの吸血鬼ファンタジー。

吸血鬼と人間が共存する治外法権的な空間として架空の日本に存在する小さな島を舞台にしたお話。吸血鬼は洋装、人間は主に和装で建物や文化は和洋折衷。ヒロインの明日美は子供の頃に読んだ絵本でこの島のことを知り、ずっと行って見たいと憧れていた明るく優しい少女。

そんな明日美がとある理由で心を閉ざしてしまった吸血鬼と人間のハーフである美少年ルイのメイドになり、持ち前の明るさと包容力で不器用なルイの心を解きほぐしていくとともに、すれ違っていたルイと家族との絆も取り戻す後押しをしていき・・・という展開。

美少年のルイがツンデレで可愛かったです。ヒロインの明日美は10代半ば、ルイは10歳前後かな?ジブリ作品のような読み心地で恋愛要素は最後にほんのり。可愛くて微笑ましい二人でした。ぜひ二人のその後が知りたいです。続編希望。


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