作品名 : | ひなたの狼-新選組綺談 |
漫画家 : | 斎藤岬 |
出版 : | 全5巻 幻冬舎(2004/9~2006/9) |
ジャンル: | 歴史モノ 新選組 |
トーン : | シリアス |
試し読み: | ひなたの狼―新選組綺談― |
[あらすじ]
その男は、女性と見まごうばかりの美貌の影に、大いなる野望を抱いていた。男の名は土方歳三―。「誠」の旗のもとに集う新選組志士を描く、待望のコミックス第1巻。
[感想]
全29話+描き下ろしショート(番外編)3話+キャララフ&プロフィール+イラスト収録。
浪士組が京都入りするところからスタートし、京都に到着早々尊皇活動のために江戸へ帰還する決定を下した浪士取締役・清河に反対した芹沢・近藤らが京都守護職を務めていた会津藩預かりとなってそのまま京都に残り、「壬生浪士組」を名乗る「新選組」の前身時代にフォーカスした内容になっています。
登場人物は近藤(試衛館)一派と芹沢一派が中心。
浪士組が分裂→「壬生浪士組」誕生→八月十八日の政変後に「新選組」の名を拝命→芹沢鴨暗殺事件
新選組や当時の歴史の大まかな流れを知ることができる作品。賛否両論ある新選組を過度に美化したり、貶めたりすることなく、史実・伝承をもとに新選組の前身組織の内情を中心に描いたお話になっています。
子供の頃から新選組の大ファンという作者ですが、変に気負い過ぎることなく、なるべくフラットな視点を心がけて描いているのが伝わってきました。
歴史漫画として一読の価値がある作品ですが、ドラマチックさやカッコよさは二の次の作風なので、新選組に思い入れがある人にはおすすめしません。内容もドロドロした血なまぐさい内紛ばかりなので読み手を選ぶかも。
ヴィジュアルは写真が残っている人物以外はかなり自由に描いている印象。近藤勇は写真ベース、ちらっと出てきた坂本龍馬もよく知られた写真にそっくり。
登場人物が多いこともあって、美少年タイプのキャラたちが似通っていたのが少し惜しいところ。藤堂平助と桂小五郎、久坂玄瑞と佐々木愛次郎の見分けがつきにくかったです。
全5巻で第1部完結。あとがきによれば、続きを構想中とのこと。既に15年経過していますが、ぜひ実現していただきたいです。
💬主な登場人物:
・土方歳三
主人公。浪士組三番隊所属。新選組の副長。武蔵国出身。試衛館門下生。華奢な美少年風。ツンデレ→鬼の副長
・近藤勇
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。新選組局長。武蔵国出身。試衛館道場主。無骨者。写真に寄せたキャラデザ。局長にしては存在感がやや薄い。
・沖田総司
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。のち新選組一番隊組長。陸奥国出身。試衛館塾頭。長身ヒラメ顔イケメン。飄々とした明るいキャラ。
・永倉新八
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。のち二番隊組長及び撃剣師範。試衛館食客。リーゼント風。仲間内のツッコミ役。
・原田左之助
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。伊予国出身。チャラ男。沖田と永倉とトリオ。
・藤堂平助
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。玄武館門弟→試衛館入門。わんぱく。
・山南敬助
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。試衛館門下生。温厚で誠実な人柄。
・芹沢鴨
レギュラーの脇役。浪士組三番隊所属。神道無念流剣術の剣士。粗野な荒くれ者だが、暗殺までの流れにドラマ(見せ場)あり。
・斎藤一
2巻途中から登場する準レギュラーの脇役。のち新選組副長助勤。撃剣師範。この作品では試衛館に一時居候していた説をとる。超美形だが寡黙で風変り(スラムダンクの流川楓を彷彿とさせる人物)。
・新見錦
準レギュラーの脇役。浪士組三番隊2所属。芹沢と行動を共にするが、芹沢だけでなく新選組にも愛想を尽かして(?)脱走を図るも見つかり切腹。
・清河八郎
浪士取締役。芹沢・近藤らと袂を分かって暗殺される。
・佐々木愛次郎
2巻終わりから登場。新選組美男五人衆の1人。恋人のあぐりと駆け落ちしようとして佐伯又三郎によって罠に嵌められ暗殺される。あぐりは強姦され自害。
・楠小十郎
2巻終わりから登場。新選組美男五人衆の1人。桂小五郎が送り込んだスパイ。
・佐伯又三郎
新選組の副長助勤。悪人。佐々木愛次郎を殺害し、あぐりを強姦。
その他
・浪士取締役
鵜殿鳩翁・山岡鉄太など
・佐々木只三郎
近藤・芹沢ら浪士組を京都守護職・会津松平家の支配下に置くように取り計らった人物。
・長州藩における尊王攘夷派
桂小五郎、高杉、久坂 玄瑞
・坂本龍馬